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韓国特使団の成果、国内分析わかれる「太陽の背景は宣伝利用」の警戒論も

2018/03/08
更新: 2018/03/08

北朝鮮を訪問した韓国特別使節団(特使団)は6日夜、記者会見で、金正恩・朝鮮労働党委員長らとの会談結果について発表した。韓国国内では、文在寅政権支持勢力の革新派、現政権の反対に立つ保守派、そして中道派の分析は分かれている。

北朝鮮の非核化南北首脳会談を開催する意思を表示したことについて高く評価した革新系から、金正恩氏が大胆な勝負師気質を持っていて、今後米国の態度を見るべきだと述べる中道系、結果の評価と共に北朝鮮メディアを通じた宣伝に特使団が利用されたとみる保守系まで、さまざまだ。

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革新系、北朝鮮の『非核化の意志を表明』を歓迎

会談後に握手する特使団長の鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏と金正恩氏(写真/韓国大統領府)

韓国の代表的な革新系マスコミ・ハンギョレ新聞は7日、「南北首脳会談と『北の非核化の意志を表明』を歓迎する」と題した社説を掲載。今回発表された6つの結果(別記事参照)についてそれぞれ言及し、肯定的な見通しを示した。特に金正恩・朝鮮労働党委員長の「非核化発言(体制安定の確保、先代の遺訓)に注目し、米朝対話につながる基本条件が満たされたとして高く評価した。

また革新系日刊紙・京郷新聞は、米韓合同訓練後の4月末に南北首脳会談が予定されたことについて「朝鮮半島の危機管理のために置いた北朝鮮の布石」とし、米朝対話に対する米韓の立場は北側に理解されたと評した。

さらに、会談の開催地を板門店・南側「平和の家」に選択した点について、「板門店は南北だけでなく、米国など国連軍司令部が管轄する地域であるため、米国も南北首脳会談を見守ることができる」と述べ、米国の信頼を得られるだろうとした。2000年、2007年度に行われた過去2回の南北会談はすべて平壌で行われた。

中道系、「金正恩氏の大胆な決定」どのような非核化かによって結果は変わる

北朝鮮が非核化の意志をどのように具体化するかにより、米国の態度は変わる。写真はトランプ米大統領(Getty Images)
 

中道革新系とする韓国日報は、金委員長が核・ミサイル実験の暫定停止などの信頼措置を取り上げたことについて「国際社会の非核化要求に動じない立場だったのが、大胆な譲歩をした」と評した。

しかし、北朝鮮は核の凍結を宣言した後に資金を受け、核開発を続けた過去から、米国と国際社会にとって「北朝鮮の態度は核開発の時間を稼ぐための戦術」との疑いは強い。特使団が今後、米国訪問時にどのように説明していくかが、対話へのカギとなるとした。

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中道保守を標榜する韓国・世界日報は、金委員長が、米韓を網羅する勝負の一手を投げたと評価し、南北首脳会談に向けて、南北対話と米朝対話の「ツートラック」に進む可能性を指摘した。

また北朝鮮の「非核化の意志」については、一方的な期待を警戒し、この意志をどのように具体化するかにより、今後の状況が変わると主張した。

保守系「非核化のための本質的な問題は、まだ解決していない」

韓国の代表的な保守系メディア・朝鮮日報は7日の社説を通じ、北朝鮮側が使った言葉について、非核化の本質的な問題にまだ答えは得られていないとした。北朝鮮が言及した「軍事脅威の解消と体制安定の確保」は、1990年代から使ってきた言葉で、この名目の下、米韓同盟の破棄と在韓米軍の撤退を主張してきたと批判した。

文面上の結果のみを持って判断する革新系の分析を指摘し、2005年の9・19合意で北朝鮮が「検証可能な非核化」を約束し、裏切った事実を取り上げた。「非核化は先代の遺訓」という発言も、元総書記・金正日氏が使っていた「国際社会の欺瞞」だと強く批判した。

中央日報の北朝鮮専門記者イ・ヨンジョン氏は、今回の訪問時に北朝鮮メディアによって特使団が宣伝ツールとして利用されたことを指摘した。金委員長の発言を特使団5人がノートに記録している場面を、北朝鮮の労働新聞が強調し、団体写真のときの背景を「太陽」にした点などは不適切であると述べた。

太陽の背景について、アン・チャンイル世界北朝鮮研究センター所長は「国家主席・金日成(1994年死亡)を『太陽』に見立てて、わが民族を『太陽民族」等々として賛美・宣伝の論理を広げるやり方だ」と指摘した。

問題となっている記念写真。北朝鮮は太陽を体制宣伝のために使ってきた(韓国大統領府)

韓国大統領府の対応不良も指摘した。金委員長との面談と夕食の内容が当日の午後11時20分にソウルで報告されたが、大統領府は翌日早朝、北朝鮮メディアが報道するまで、この事実を公にしなかったという。

今回の訪朝時、韓国側の記者団が同行できなかったため、北朝鮮メディアに依存し、結果的に北朝鮮が望む方向に宣伝されたとイ記者は語った。今回の特使団派遣までの政府の努力を評価しながらも、一国の代表として守るべき品格が欠けている点を残念がった。

(翻訳編集・齊潤)