中国にも広がる「#MeToo」、元教え子の告発で著名大学教授が停職処分

2018/01/16
更新: 2018/01/16

昨年秋に米国から始まったセクハラや性的被害告発運動、「#MeToo」は今、中国にも広がっている。元教え子の告発をきっかけに、国家重点大学である北京航空航天大学(以下、北航)の著名教授がこのほど停職処分を受けた。中国国内では、大学教職員によるセクハラ問題への関心が高まっている。

北航の博士課程卒業生で米国シリコンバレーで働く女性、羅茜茜さんは元日、中国語版ツィッター「微博」で、「実名で、北航教授陳小武氏の女子大生へのセクハラ行為を告発します」と題して投稿した。

羅さんによると、12年前同校の博士課程に在籍中、副指導教官の陳氏が、羅さんを自身の姉の家に呼び出し、部屋のドアに鍵をかけてから、妻との不仲について愚痴を言い、羅さんにセクハラしようとした。羅さんの抵抗で結局未遂に終わった。

その後、同教授による嫌がらせが始まった。羅茜茜さんは一時、うつ病を患った。米国に留学以降、他の後輩も陳氏に同様なセクハラ被害を受けたのを聞き、告発を決心したという。羅さんによると、自分を含めた被害者は7人いる。うち1人は陳氏から性的暴行を受け妊娠したという。

陳小武氏はその後、中国メディアに対して、セクハラ行為を否定した。これを受けて、2日、羅茜茜さんは、被害者の証言やセクハラ現場の録音をすでに北航側に提出したと投稿し、反論を行った。

北航側は11日、陳氏に関してセクハラの事実があったとの調査結果を発表した。同校は、陳氏の大学院常務副院長の職を停職し、大学院生の指導教授などの資格を取り消す処分を下した。

また、中国教育部は14日、同教授の「長江学者」の称号をはく奪すると決定した。「長江学者奨励計画」は中国国家高等教育振興プロジェクトで、陳氏は2016年4月に同計画の特別招へい教授として選ばれた。

羅茜茜さんの告発以降、中国国内では大学教員によるセクハラ問題への関心が高まった。1月11日、北京対外貿易大学の女子大生はインターネットで同大の教授から長期にわたってセクハラを受けていると告発した。女子大生は「羅茜茜さんに勇気付けられた」と話した。同大は告発を現在、調査中としている。

中国メディア4日の報道によると、過去5年間メディアが報道し、事実関係が確認された大学教員のセクハラ問題は12件に達した。中には、北京大学や北京師範大学などの名門大の名も挙げられている。

しかし、報道された大学教員らのセクハラ問題はまだ氷山の一角だ。

昨年7月、広州市性別教育センターが発表した『中国の大学在校生と卒業生が受けたセクハラ行為状況調査』によると、回答者6592人のうち、約7割が様々なセクハラ行為を受けたという。また、同調査によると、セクハラの加害者の約1割が大学側の幹部や教員だという。

(翻訳編集・張哲)