トランプ大統領元首席戦略官のスティーブ・バノン氏は11月15日、中国民主化運動の研修会に出席して、中国当局の世界的野心について語った。バノン氏によると、中国共産党政権は権威主義的な共産主義で、欧米やアジアの国に呼び掛けて世界経済を主導する計画があると述べた。
「中国の政策は数年で計画していない。何十年、世紀単位で計画を考えている」。中国の民主化を呼び掛ける組織「公民力量」が主催する第12回民族青年指導者研修会の演説で、バノン氏はこう述べた。
保守メディアのブライトバート・ニュース(Breitbart News )会長で2016年米大統領選トランプ陣営の選挙対策本部の最高責任者だったバノン氏によると、米国エリート間には、数十年にも渡り、中国に対する見方に誤りがあったという。
「共産党政権下でも資本主義が進めば、民主と自由主義が進むと考えていた。しかし実際は反対の方向に進んでいる。中国の指導者は、国際ルールに従うつもりはない。中国共産党の計画を厳格なほど実施しているだけだ」と述べた。
バノン氏は「私は労働者階級の出身者だ」と断りを入れ、対中認識を誤り続けた欧米権益層エリートたちについて「とても愚かしい、なぜ中国の動きを受け止めてこなかったのか」と批判した。またトランプ氏も「小さなミスではなく、根幹的なミスだ」と重く考えているという。
既存メディアに対しても、欧米主導の世界がますます衰退し、共産党政権の中国が覇権国になるとの深刻さを報じてこなかったと指摘した。
バノン氏によると、中国の発展モデルは過剰生産とデフレ輸出だという。安価な中国製品が米国になだれ込み、米国国内の生産量が衰退し、労働者階級や中産階級は失業していった。トランプ大統領はメイド・イン・アメリカの復活を選挙公約にして有権者に訴え、勝利した。
バノン氏は第19回中国共産党代表大会での習近平主席の演説は「あれは私たちに対する警告」とし、「中国が今後、世界覇権国になるとのメッセージだと考える」と語気を強めた。
習近平氏は演説の中で、2035年までに世界一の経済大国、2050年までに世界の覇権国になると述べている。
いまや習近平政権の発展は「儒家思想の重厚主義、権威主義のもとで動いている。欧米のユダヤ、キリスト教資本主義経済の立場は失われていく」と分析した。
(文・佐渡道世)
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