ベトナム政府はこのほど、中国に倣って(ならって)40数年前から導入した戸籍制度の撤廃を発表した。同国政府は近年選挙改革を行うなど、民主主義に歩み寄る動きを見せている。
ベトナムは中国と同じく共産党一党独裁体制をとっている。同国が1975年から導入した戸籍制度、国民を階層化し、束縛抑圧するものであるとして従来から不評だった。2013年、ベトナム政府は戸籍改革を宣言し、今回の撤廃に至った。
さらに同国は2006年から国民直接投票で国会議員を選ぶ選挙制度を導入し、メディア統制を緩和させるなど、民主主義に歩み寄る動きを見せている。
英BBC中国語ニュースサイトは「ベトナム政府が開催されるAPECの直前、戸籍制度を撤廃したのは、民主主義に同調する意思を表明しているのかもしれない」と評した。
中国の戸籍制度は全国民を農業戸籍(農村部住民)、非農業戸籍(都市部住民)に分類。教育、医療、社会保障、所得など各方面の処遇に顕著な格差がある。
改革開放が始まる80年代まで、農村戸籍の人の都市部への移住・就学・就業などが禁止されていた。改革開放になってから、規制が緩和されて、農民は都市へ大挙して出稼ぎしているが、医療や就学などの格差は是正されていない。
教育に関して、農村の教育体制は都市部より大幅に遅れている▽大学進学では北京や上海など大都市の受験生の合格最低点は地方都市・農村戸籍より大幅に低い▽農村戸籍は都市部の偏差値の低い小中高にしか受け入れてもらえず、かつ学費は都市戸籍より高いーーなど。社会保障に関して、農村戸籍は国の健康保険の対象外▽10年前までに年金が支給されない、など理不尽な待遇を強いられている。
中国全人代のある幹部はネット上の市民懇談会で、都市と農村戸籍の格差は実に60項目以上だと認めた。農民は都市住民よりランク下の「二等公民」とやゆされている。無論、農民の不満は積もっており、差別的制度だという批判の声は根強い。
こうした中、2014年半ば、中国政府は農業戸籍と非農業戸籍を廃止し、一律住民戸籍に統一すると宣言したが、専門家は「名称変更するだけは容易いが、各方面で農民が都市部住民と平等の国民待遇を受けるには、具体的な政策変更や財政予算が必要」と注文を付けた
(翻訳編集・叶清)
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