緊迫の朝鮮半島 ビューポイント

ちっとも世界から「孤立」してない北朝鮮 核保有国ネットワークで連携

2017/10/05
更新: 2017/10/05

北朝鮮の積極的な核開発プログラムを、アジア極東の一国の単独⾏動と⾒ることはできない。金正恩氏体制は、ロシア、イラン、シリア、パキスタンと核・化学兵器プログラムにおいて密に連携してきた。専門家によると、中国共産党政権は、関係国の「核拡散ネットワーク」を強化させ、援助してきたことが明らかになっている。

「中国は物質的に支えている。3カ国が利する策だ」と、⽶国国際評価・戦略センターの上級研究員リチャード・フィッシャー⽒は語る。同氏によると、中国が核拡散のネットワークを作り出し、パキスタン、イラン、北朝鮮の技術を共有させてきた。

中国の元国家主席・江沢⺠は、政治派閥を利⽤して、長らく金正日体制の北朝鮮との関係を維持してきた。しかし、現在の中朝関係は、「血の絆」と例えられた以前のそれとは程遠いようだ。習近平⽒は米トランプ大統領に対して、北朝鮮に対する厳しい制裁に反対しない姿勢を⽰している。

中国の生んだ北朝鮮、イラン、パキスタンの核拡散ネットワーク

平壌「建設ブーム」北朝鮮経済支える中国

北朝鮮の核ミサイル開発は、この「核拡散ネットワーク」を通じて、欧州への脅威にもなっている。2010年2⽉24⽇に漏洩した⽶国国務省の外交文書によると、北朝鮮が2005年に弾道ミサイル19発をイランに送っていたことが明らかになった。イランに、⻄ヨーロッパの中⼼都市を攻撃する能⼒を与えることに繋がった。

北朝鮮は2016年6⽉、軍事演習で初めて⽕星(ファソン)10型ミサイルを試射した。戦略・国際研究センターによると、ミサイルは射程距離3000キロを超えた。設計は旧ソ連のR-27潜⽔艦発射弾道ミサイル(SLBM)を元にしている。多くの専⾨家らは、最近イランが発射したミサイルと同じタイプ(BM-25)ではないかと推測した。

イランがミサイルを発射した後、トランプ⼤統領は9⽉23⽇ツイッター上に「イランがイスラエルまで届く弾道ミサイルを試射した。彼らはまた北朝鮮と協⼒している。我々の合意はたいしたものじゃない︕」とイランの実験を批判した。

フィッシャー⽒は、北朝鮮がパキスタン、イランとミサイル開発を協⼒してきたと述べる。「北朝鮮のような貧しい国が、このような洗練された広範な戦略兵器プログラムを持っているのは、とても奇妙ではないか」と、中国が資⾦源である可能性を改めて示唆した。

闇の核同盟 中国製核弾道の生産法 リビアにまで渡る

2016年11月、北朝鮮国営メディアの朝鮮中央通信が公開した、北朝鮮軍の多連装ロケットシステム(MLRS)の一斉砲撃(STR/AFP/Getty Images)
 

過⼩評価されてきた北朝鮮の核開発のなかでも、他国との「核同盟」について、さらに目を向けられてこなかった。ヘリテージ財団の上級研究員ブルース・クリングナー⽒は2014年3⽉期⽶国下院外交問題委員会・アジア⼩委員会の聴聞会で、すでに長期的に核開発で協力関係にあり、核弾頭と運搬を行っているパキスタンとの関係に言及した。

クリングナー氏によると、北朝鮮側は科学者を派遣してイスラマバードのミサイル計画に重⼤な⽀援を与え、パキスタン側は核兵器の専⾨知識、技術、部品を提供したという。

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⼀例として、クリングナー⽒は「2004年3⽉にパキスタン核兵器計画の⽗と呼ばれるアブドゥル・カディール・カーン(A.Q.カーン)⽒が当時、核兵器設計図、遠⼼分離機、核燃料を含む関連資料・部品を北朝鮮側に提供した」と述べた。

いっぽう北朝鮮は、パキスタンのミサイルへの核弾頭搭載技術を⽀援したという。この核弾頭の設計図は、カーン⽒が2004年2⽉、リビアに提供したものと同じものである可能性がある。

また、北朝鮮の労働(ロドン)ミサイルに搭載可能な、中国製核弾頭を⽣産するための詳細な説明も含まれていたという。

核ネットワークで米中の代理冷戦 北朝鮮やイランも参加

クリングナー氏は、北朝鮮はシリアに「核・化学兵器技術」を提供することに躊躇しておらず、イランとの核・ミサイル計画についても同様に協働しており、テロ組織のハマスとヒズボラに対する武器供給さえも⽀援してきたと主張した。

レーガン政権下、⽶国情報コミュニティのベテランであるウィリアム・トリプレット⽒は、北朝鮮とイランの間で軍事用品の運搬経路について「中国の軍事空港を経由し、平壌からテヘランまで飛行している可能性がある」とし、中国の間接的な協力を指摘した。

また、1970年代、⽶国が747-Fの貨物⾶⾏機をイランに、C-130機をイランとパキスタンに売却したことを付け加えた。これらの⾶⾏機は北朝鮮の⾶⾏場で発⾒されている。

今年8月、ニューヨークタイムズは、北朝鮮は旧ソ連のロケットエンジンをウクライナの闇市場で購入していたとの疑惑を報じた。北朝鮮が打ち上げたロケットの費用は計3000万ドル(30億)にものぼる。トリプレット氏は、巨額の技術購入や開発資金の出所は、中国である可能性を強調した。

フィッシャー⽒によると、中国共産党と⽶国との擬似核冷戦が、北朝鮮などの「代理国」を通じて繰り広げられているとしている。

(文・ジョシュア・フィリップ=英文大紀元/翻訳編集・⿑潤、佐渡道世)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
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