北朝鮮問題をめぐって、中国に対するトランプ米大統領の態度が変化している。今年4月初め、「中国が北朝鮮を抑えないのなら、米国が自ら動く」と中国の対北朝鮮政策を批判するかのような激しい口調でツイートしたが、5月末には「北朝鮮は中国に対して非常に無礼であるが、中国はそれでも努力している」と、一転して、中国を擁護するかような発言に変わった。米国は「自ら動いて」何をしようとしているのか。そして中国はなにを「頑張って」いるのだろうか。
トランプ政権は、中国側が北朝鮮に制裁を加えるならば、台湾への兵器輸出を延期することも視野に入れるという。トランプ大統領は中国に対して態度を軟化させたのか。あるいは両者の間に何らかの密約が存在するのだろうか。
専門家「それでも台湾は武器を輸入できる」
VOXメディアなど複数の米メディアによると、米国政府は総額約10億ドル(約1,102億円)の対台兵器輸出の認可を見合わせているという。兵器輸出の協議は、オバマ政権時代に初めて提起された。
ワシントンポストのコラムニスト、ジョシュ・ロギン氏は、現在トランプ政権には「行政コンセンサス」が欠如しているからだと述べている。ホワイトハウスの一部政府関係者からは、トランプ大統領が中国に北朝鮮の暴走を制止させるにあたり、中国の神経を逆なでする対台兵器輸出は「足かせになる」との声が上がっているという。
もっとも、今回の輸出延期は、トランプ大統領が輸出そのものを撤回するという意味ではない。ロギン氏は、台湾は最終的には米国から、次世代のF-35 ステルス戦闘機を含む最新兵器を購入できるだろうと指摘している。
米国は、台湾と正式に国交樹立していないが、過去数十年に渡り武器を供給し続けてきた。2015年だけで対台兵器輸出額が20億ドルに達した。中国から抗議と威嚇行為を受けたときにも、これまでは米国は意に介さなかった。
トランプ大統領が変化した理由
VOXは、北朝鮮に対するトランプ大統領の態度が変化したのは、戦略上の理由があるからだと分析している。トランプ大統領にとって目下の急務は、北朝鮮の暴走を食い止めることだからだ。
大紀元は以前に、米国側が北朝鮮に対し自ら積極的な報復措置に出ない理由について、米国が北朝鮮に対する態度を軟化させたのではなく、今年4月のトランプ大統領と習近平国家主席の初の首脳会談で、習主席が100日間の猶予期間を求めたからだと報じている。
消息筋によると、習主席がトランプ大統領にこの猶予期間を求めたのは、中国企業と米国の金融機関や企業との間のビジネスへの影響を避けるためだという。
5月29日、トランプ大統領はツイッターで、「北朝鮮のミサイル発射実験は中国に対し極めて無礼な行為であるにも関わらず、中国はなおも努力を続けている」と中国側の対応を評価する発言をしている。
消息筋によると、習主席は首脳会談でトランプ大統領に対し、北朝鮮の挑発行為をやめさせるため、中国企業による北朝鮮への資金移転や石油輸出を規制するといった強力な形で、制裁行動を取る用意があると発言した。このほか両者は、北朝鮮が重大な挑発行為に及ぶことがあれば、個別に制裁行動に出ることでも合意している。
(翻訳編集・島津彰浩)
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