フランス大統領選結果、海外に住む日本人の感想

2017/05/17
更新: 2017/05/17

日本人向け海外支援サービスの「トラベロコ」はこのほど、フランス大統領選挙の結果を受けて現地在住の日本人を対象に調査を行った。調査では、欧州連合(EU離脱や移民対策が焦点となった今回の大統領選結果に、日本人の多くは一安心したとの意見が多数を占めた。

5月7日に行われたフランス大統領決選投票で、中道派でEUと結束を訴えるエマニュエル・マクロン前経済相は66.1%の投票率で、2位の反EU派「国民戦線」マリーヌ・ルペン氏に大差をつけて、大統領に当選した。

フランスパリ在住の30代の女性は「個人的には、マクロンが勝ってよかったと思う。もしルペン氏が勝っていれば、アメリカのようになっていたと思う」と言った。

ニース在住の50代女性も「フランス全体が史上最も若い大統領の誕生に沸いているように思われる。2008年世界金融危機以降、経済や雇用情勢が厳しく、テロ事件が多発したフランスに若くてハンサムで知的なリーダの誕生に明るい希望がもたらされる」と話した。

いっぽう、もう一人パリ在住の30代女性からは、「前大統領は左派で、それに不満を持つ国民も多かったのですが、結局前大統領とともに活動を行っていたマクロン氏が勝ったので、大して変化は望めないと思う」との意見があった。

フランス周辺のドイツやイタリアなど在住の日本人も、親EUのマクロン氏の当選に「一安心した」との声が聞かれた。

ドイツ在住の50代の女性は「ホッとした。トランプ大統領、イギリスEU離脱に続いて、フランスに極右大統領が出たりしたら、EUの将来がどうなるかと危惧していた人が多いと思う」と答えた。

しかし、EU離脱のイギリスでは、国内の地方議員選挙が大きな話題となっており、フランス大統領選に興味を示す人は少なかった。

さらに、かつてフランスの植民地だったベトナムでは、国民の間でフランス大統領選が全く話題に出なかったが、しかしベトナムで繊維産業に携わる50代の男性は「マクロン氏の当選に一安心した」と話した。

ベトナムの繊維産業は携帯電話の組み立て産業に次ぐ大きな基幹産業で、EUは米国に次ぐ繊維製品の輸出先であるため、EUが崩壊すればベトナムの繊維産業は大きな打撃を受けるのを懸念されたからだ。

トラベロコは同調査を通じて、EUの「存在の大きさ」を改めて認知できたとし、各国の政治は人々の「生活に直結しているため、関心を持ち情勢を見守っていくことが大事だ」と、自国の政治に無関心にならないように呼び掛けた。

(編集・福田 春代)