ドイツフランクフルト近郊にあるラインラント=プファルツ州公営ハーン空港は近年の収益低下による赤字続きのため、6月上旬、1350万ユーロで中国の上海益謙貿易公司(以下上海益謙)に買収された。しかし、ドイツメディアのARDドイツテレビ(6月28日付)によると、買収した上海益謙を取材しようとしたところ、経営実態のない会社であることが発覚した。
ARDドイツテレビの記者がウェブサイトなどで同会社に関連する情報を探したが、全く見つからなかった。また、記者が上海にある同会社の商業登記に記載されている一つ目の住所の建物を訪ねたが、そこには会社の看板や広告などはなく、事務所もなかったという。
報道によると、この建物自体はドイツ産の自動車タイヤを販売する店舗となっている。この店舗のスタッフによると、以前ここには投資会社があった。しかし昨年末に投資家らしい人が「騙された。お金を返してほしいが、いくら探しても会社の人を見つけられない」と言って、毎日のように訪ねてきたという。
また、記者が建物の2階を訪ねると、そこには空の事務室があるだけで、部屋の中に家具などの物品はなかったという。
さらに、記者が上海益謙の商業登録にあった二つ目の住所に行ってみると、そこにあったのは上海益謙ではなく、「上海国青投資管理公司」の看板だった。この会社の若い女性スタッフに質問すると、「ここが上海益謙貿易公司だ」、「社長は今海外にいる、今連絡できない」との回答はあったが、会社の詳しい情報提供は拒否されたという。また、「上海国青投資管理公司」の看板があった事務所は非常に粗末で、経営実態の有無は不明だったという。
ドイツ現地メディアによると、ラインラント=プファルツ州政府が中国人詐欺師に騙されたのではないかと推測している。
同州政府は、売却契約を結んだ後、上海益謙から契約通りの第1期金が未だに入金されていないため、このほど売却契約を一時中止すると発表した。
ラインラント=プファルツ州のマル・ドライヤー州首相はメディアに対して、売却案に関わった調査会社から、上海益謙について「リスクはない」「信用できる」との評価を得ていたと話した。同州政府の委託で上海益謙を調査したのは、国際会計事務所大手KPMGインターナショナルの上海事務所だという。
(翻訳編集・張哲)
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