イタリア上院、「人喰いだ」と中国臓器狩りを批判 死刑数と手術件数の不一致を指摘

2015/03/09
更新: 2015/03/09

【大紀元日本3月9日】イタリア上院は、人間の臓器を取引する個人に対し厳しく罰する議案を可決した。投票前の議論のなかで、数万人が臓器収奪で死亡したとされる中国臓器移植システムについての議題が上がり、上院議員は「人喰いだ」と厳しく非難した。

マウリツィオ・ロマーニ上院議員は、中国臓器移植の問題について説いた。同氏によると、中国の臓器移植件数は米国に次いで世界2位だが、欧米のような脳死状態のドナーから臓器を調達する医療システムや、国が臓器情報を共有するしくみも整備されていないという。

移植用臓器について、中国当局は死刑囚の臓器を利用していると説明しているが、年間手術件数は1万件以上で、推計される死刑執行数よりはるかに多い。「臓器は一体どこから来たのか」とロマーニ議員は問いかけた。

ロマーニ議員は「驚くべきことに、政治犯、特に精神修養法である法輪功の学習者が、臓器のために死んでいる」「私はこれを説明するのに人喰いという言葉を使う」と述べた。

このたびの法案は、臓器の不正取引に関する処罰の一部を改定した。イタリア国民が中国に渡航し、移植手術を受けることを防止目的とする。

米国の調査研究組織、グローバル・ファイナンシャル・インテグリティによると、世界の臓器闇取引における利益は6億ドル(約720億円)と推計されている。同組織はまた、中国の臓器取引には国家支援があり、残忍さを伴うと指摘している。

ロマーニ議員が掲げた中国臓器移植システムの矛盾について、「科学界で最も影響力のある10人」の一人で生命倫理学者のアーサー・カプラン博士も同様に指摘する。同博士は、中国にはドナー登録性がないことや手術件数と死刑執行数の不一致を上げ、中国では「臓器の需要のために処刑する需要殺人がある」とその存在に言及した。

中国の「臓器狩り」問題は2006年に公になった。カナダ政府元アジア太平洋地区担当大臣デービッド・キルガー(David Kilgour)氏と人権派弁護士デービッド・マタス(David Matas)氏が調査を行った結果、中国政府が主導で軍や病院、警察など組織立てて臓器移植手術用に刑務所収容者から臓器を収奪していると伝えた。ジャーナリストのイーサン・ガットマン(Ethan Gutmann)氏は中国の医師ら30人からインタビュー調査した結果、2008年までに、少なくとも6万5千人の法輪功学習者が臓器狩りによって死亡したと明かした。

(翻訳編集・佐渡 道世)