【鼎談】中国経済はどこへ (三)

2012/02/13
更新: 2012/02/13

【大紀元日本2月13日】現在、全世界が不景気で、かつての三大世界経済地区・米国、ヨーロッパと日本はいずれもそれぞれ危機にある。一方、注目されている中国経済がどうなるかについて、学者達は互いに異なる見方をしている。ある人は中国の経済成長は緩やかになっているが、依然として未来の世界経済の希望とみており、またある人は中国の経済には構造的問題が存在し、間もなく崩壊するとみている。

大紀元グループ傘下の週刊誌『新紀元』の臧山編集長は昨年末、経済コラムニストの廖仕明氏と、もう1人の中国経済学者(匿名、文中表記は沈先生)と、中国の経済についてビデオ対話を行い、それぞれの意見と見方を交流した。以下はその内容である。

替えるのは 籠か鳥か

臧山 国の経済の未来を見る時、その国の中小企業を見るべきだ。これは民族の未来を見る時、その国の子供を見るのと同じ道理だ。中国の中小企業は、確かに生存するのが困難だ。政策による援助もなく、資金は不足し、技術サポートに欠け、管理経験は不足し、大手の国有企業の圧迫にも直面しなければならない。

ワシントンDCで運転しながらある放送を聞いた時、中小企業への基金援助の広告を耳にした。その広告は、生きて行けない企業だけが私達の基金を申請すると思ってはならない、私達が助けた企業の多くが今や有名企業になっていると、マイクロソフト、フェデラルエクスプレス、シスコ、インテルなどの名前をあげた。

中国もようやくこの問題に気づいたようだ。広東では企業のグレードアップが求められ、「籠を空けて入れ替える」という言い方をしている。

廖仕明 「籠を空けて鳥を変える」というのは面白い言い方だ。以前中国大陸では「鳥籠の経済」という言い方があり、市場経済を社会主義計画経済の鳥籠の中に閉じ込めているという意味だ。今のこの「籠を空けて鳥を入れ替える」は意味が違うが、同様に素晴らしい。私の理解では、ハッカチョウの鳥籠に、ガビチョウやオウムは入れられるが、鷹は恐らくだめだろう。「籠を空けて鳥を入れ替える」の言い方は即ち「あなた達は変われ、私は変わらない」という中国当局の典型的な管理パターンだ。実は中国に必要なのは空に羽ばたく大きい鳥だが、籠の中では育たない。広東の汪洋(中共の広東省トップ)には新しい構想が多いが、どうして籠を変えてみないのか。

臧山 鳥を替えるのかそれとも籠を替えるのか。この問題提起はいい。中共はもちろん籠を替えたくないだろう。

沈先生 実は、中国の籠は大きい。ただこの大きい籠は中で幾つかの小さい籠に分割されている。多くの外資は中国の籠に入る前に、この大きい籠に割り込めば大きい商売ができると考えていた。しかし、実際中へ入ると、至る所に落とし穴があり、幾重にも区画が重なり合うことに気が付いた。シティバンクに聞けば、彼らは多くのストーリを教えてくれる。

臧山 従って鳥は成長すれば、飛び立って逃げださないと死ぬしかない。この籠は、実は中国の体制であり、政治体制と経済体制を含む。中国ではこの二つの籠は一つのものであり、中共はもちろん替えることはしない。

2012はとても危険な年

廖仕明 今中国経済の問題はインフレと(金融政策の)緊縮が同時に発生していることだ。一般の見方では、中国の今年の経済成長は8~9%であろうと予想される。以前の経験から、中国政府の数字は8%の増加が境界線であり、8%より低くなると就業情況が悪化するから、大概外国の4%に相当する。問題は、もし金融緩和を行ない、銀行の移動性を緩めると、インフレがまた問題になる。咋年数カ月連続でGPIが5%を上回り、実際は恐らく10%を上回った。もし引き続き緊縮するなら、恐らく企業と地方政府はとても苦しくなるだろう。

沈先生 従来から経済の問題は単独の存在ではない、中国大陸では尚更だ。北京の今の問題は、中央当局が焦点を失ったことにある。中国のこのような権力の独裁体制は、中央政府の権力が地方に対する絶対的な権威の上にたっている。今各地で異なる問題が起こり、多種の対立が同時に爆発し、北京はどうしたらよいか分からない。北京の権威失墜のため、いわゆる政令が中南海を出ないことが現れた。来年の中共十八大では、各派が地方の支持を必要とするから、この問題は更に顕著になる。

臧山 恐らく国際経済の情況も見なければならない。もし国際経済、特に米国の経済が大幅に好転すれば、中国の経済も恐らく転機がある。でも私が見る限り、米国は2、3年ではとても立ち上がれない感じがする。米国は人民元に対して引き続き圧力を加えるだろう。経済がよくない時、国際貿易の紛糾と保護主義の問題がより突出し、紛糾と衝突も発生しやすい。

まさに沈先生が言ったように、中国の社会問題は頻発時期に入っており、民衆の当局への反感と不信はかつてないレベルに達し、労資の紛糾、行政と企業の紛糾、地区の紛糾、官民の紛糾はいずれも深刻だ。従って、2012年は中共にとって、おそらくとても危険な年になるだろう。

沈先生 少なくとも非常に過ごしにくい1年だろう。

(完)

(翻訳編集・金本)