中国政府、各国に法輪功弾圧への協力を要請=ウィキリークス

2011/10/19
更新: 2011/10/19

【大紀元日本10月19日】ウィキリークスがこれまでに公表した一連の米国外交公電によれば、中国政府は12年前の1999年に法輪功への集団弾圧を始めてから、様々な外交ルートを通じて各国政府に法輪功弾圧への協力を求めていた。

 外交ルートで当局の宣伝を繰り広げる

米国駐北京大使館が1999年7月22日に作成した外交公電によると、中共の最高意思決定機関「中共中央政治局常務委員会」は同年7月19日の会議で法輪功弾圧を決定し、江沢民の指示を中心とする政府声明を公表、法輪功を学習する党員に対して放棄を要求し、従わない者は除籍処分とした。7月21日、中共の全国各機関の幹部にはこの声明文の学習が命じられた。7月22日、中共の各メディアが法輪功への取締を報道した。外交部の報道官も記者会見でこのことに言明した。

また、駐ローマの米国大使館が2002年7月10日に作成した外交公電によると、中国外交部の幹部は米国大使館の外交官に対して、当時の李嵐清・副首相が同年5月にイタリア訪問したときの詳細に言及した。同副首相はイタリアの当時のフィーニ副首相との会談で、法輪功は自殺するテロ組織であると説明し、イタリア政府の法輪功に関する見方を変えようとした。それに対して、フィーニ副首相は、イタリア政府は法輪功の犯罪証拠がない状況下で結論を出さない、宗教の自由を尊重すると答え、台湾や、チベット、人権などの問題に関する政策も欧州連合と一致を保っていると述べた。

 他国に法輪功弾圧への加担を要求

駐バンコクの米国大使館が2004年10月20日に作成した外交公電はタイの情報筋の言葉を引用した。それによると、タイのタクシン前首相は2003年のAPEC首脳会議の直前に、中国政府の弾圧に抗議する法輪功学習者を強制送還するよう命じた。この決定は中国政府からの圧力によるものだった。タクシン前首相は、一族の企業が中国とのビジネスを獲得するため、北京の指示に従い続けていた。

また、米国大使館の外交公電は、タイのほか、カンボジアとインドネシアの両国政府も中国政府に屈して法輪功弾圧に協力したことを記している。駐プノンペンの米国大使館が2007年7月10日に作成した外交公電によると、カンボジアはミャンマーに続いて東南アジアにおける中国政府のもっとも親密な盟友になっていた。同国は2002年に、ダライ・ラマ14世の入国ビザの申請を却下して、自国の法輪功学習者の活動を取締っていた。

駐ジャカルタの米国大使館が2008年5月9日に作成した外交公電によると、中国大使館は2007年4月に、インドネシア政府と同国ラジオ放送管理委員会(Indonesian Broadcasting Commission,IBC)に対して、法輪功学習者が設立した「新世紀ラジオ」を「しっかりと監視・管理するように」と求め、その放送が続けば、中国とインドネシア両国の断交もあり得ると示唆した。

また、中国の外交関係者は、法輪功学習者とつながりを持つ組織に対しても行動を取っている。駐プラハの米国大使館が2009年5月22日に作成した外交公電によると、第27回欧中人権対話の会議において、中国の外交関係者は、法輪功関係の記者が記者会見への参加を許可されたことに反発して、質問への回答を拒否した。

 関連訴訟の撤回を迫る

中国政府は外交手段を利用して、他国政府に対して、江沢民など法輪功弾圧を陣頭指揮する高官への法的訴訟の撤回を迫っている。米国国務省が2003年1月10日に作成した外交公電によると、当時の駐米中国大使・楊潔チ氏は、2002年10月江沢民が米イリノイ北地区連邦地方裁判所にて法輪功学習者に(ジェノサイドなどの罪で)告訴された件について、米国政府に圧力を講じた。楊潔チ氏は、中国政府は本案に強い関心を示し、米中関係を脅かしかねないと示唆し、本案の撤回を求めた。

また、駐北京の米国大使館が2006年4月27日に作成した外交公電によると、中国外交部の元副部長・何亜非氏は、当時の商務部トップの薄煕来が法輪功学習者に米裁判所に告訴された件に関して、米国政府に姿勢表明を要求し、同被告人は外交特権を有していると主張した。

 法輪功弾圧には合法の法的根拠がない

駐北京の米国大使館が2008年6月6日に作成した外交公電は、北京在住の人権弁護士・莫少平氏の見解を引用し、法輪功の学習は中国の法律に違反していないと記した。中国司法当局の法輪功学習者への逮捕・監禁は、最高人民法院(最高裁判所)の「通知」を根拠としており、正式な法律を根拠としていないと莫氏は指摘した。

法輪功(ファルンゴン)とは、中国伝統文化の一つである気功の心身健康法である。誰でも学びやすい五式の功法に集大成して、約20年前から完全無料で一般に公開普及してきた。心身の健康に効果が高いことから、一般庶民から政府高官や軍の関係者も含めて、中国社会の各層で学習する人が爆発的に増え、弾圧されるまでは、愛好者は1億人に上ったと推定されている。当時の江沢民・国家主席はこのことを政権への脅威と受け止めて、1999年7月に弾圧を命じた。法輪功の公式サイトは、12年間に及ぶ弾圧によって3400人以上が拷問などで死亡、数十万人が投獄されていると発表した。いま、世界の60カ国に広がっており、日本では約1千人の学習者がいる。

(翻訳編集・叶子)