国連、チベット僧300人失踪を懸念 中国「法律教育を受けている」

2011/06/13
更新: 2011/06/13

【大紀元日本6月13日】国連の専門家チームは8日、中国当局に対して、4月末に強制連行されてから行方不明となった300人余りのチベットラマ僧の情報開示を求め、関連した幹部への責任追及も呼びかけている。これに対して中国当局は、これらのラマ僧が「強制連行されたのではなく、法律の教育を受けている」と反論した。

事件の背景は、今年3月、2008年のチベット人抗議活動への弾圧3周年の節目に、四川省アバ・チベット族チャン族自治州のキルティ僧院の一人の若いラマ僧が弾圧に抗議するため、焼身自殺を図ったことである。

BBC(中国語版)の報道によると、この焼身自殺事件が発生したとき、寺のラマ僧たちが当局の救命活動を阻止したという主張に対して、国外のチベット人支援団体は、当局関係者は当時、手をこまねいて傍観していたと非難した。後にこのことがキルティ僧院の一連の抗議活動につながり、4月21日夜、当局が同僧院の僧侶300人余りを拘束した。

国連の「強制あるいは非自発的行方不明の調査チーム」は、「これらのラマ僧は今年4月に、キルティ僧院から強制連行されてから、どこに監禁されているかは不明である」と公表した。

翌9日、中国外交部の洪磊・報道官は定例記者会見で国連のこの指摘に反論した。同報道官は、同ラマ僧の強制連行・失踪事件はまったく存在していないとし、関連の政府機関が宗教の秩序を維持するために、ラマ僧に法律の教育を行っている、と主張した。

駐米中国大使館の王保東・参事官は米VOAの取材に対し、同様な説明を繰り返し、「中国の地方政府が法律に基く行動に対して、国際社会は余計な解釈を行わないことを願う」と強調した。同紙記者がこれらのラマ僧の今の所在を質問したところ、同参事官は状況をよく知らないと答えた。

中国国営通信社・新華社の関連報道は、現地政府の4月末の発表を引用して、強制連行されたキルティ僧院のラマ僧は違法な行為、例えば買春、飲酒、賭博、猥褻ビデオの鑑賞などを行ったと報道した。これに対して、米国の人権団体「国際チベット支援運動(ICT)」のメアリー・マーキー代表は、このような説明はチベット仏教の信者全員への侮辱であると非難し、「この説明は絶対に事実ではない。例え、事実であるとしても、これらのラマ僧の道徳の欠如にあたり、法的制裁を科すべきではない」と述べた。

(翻訳編集・叶子)