【大紀元日本2月2日】最近ホワイトハウスで開かれた会見の中で、反政府デモが全国規模で広がったエジプトについて、「どうして我が国は、エジプトのような人権を尊重しない国・政権をいまだに支持しているのか」との記者の質問に対し、米ギブス報道官は中国胡主席の訪米を例にして、「人権を尊重しない国のリーダーと直接会話することは大事だ」と答えた。
独裁国家エジプトと中国を結びつけるのはギブス報道官だけではない。一党独裁の政治体制を維持する中国当局自身も、物価上昇や貧富の格差、雇用問題、官僚腐敗に対する民衆の不満など、内政問題を抱える中、エジプトをはじめアラブ諸国で起きている民衆蜂起が中国にも波及するのではないかと戦々恐々のようだ。これまで、エジプト情勢に関する詳細な報道は中国国内ではされておらず、各メディアが掲載しているのは国営新華社通信の短い記事のみだ。
また大手ポータルサイト「新浪網」や「捜狐網」のミニブログサービスで、中国語で「エジプト」をキーワード検索すると、「関連法と政策に基づき、検索結果は表示できない」とメッセージが表示され、情報が遮断されている。
ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)は中国の民間ニュースサイトからの情報として、中国国務院新聞署が公安部と共同で、国内メディアに対し、エジプト情勢についての報道規制を発したと伝えた。この規制によると、「エジプトの混乱について、全国のメディアは新華社通信の記事を使うものとし、独自に外電(海外からのニュース)を翻訳編集することを厳しく禁ずる。インターネットの各情報サイトは、読者コメント欄や論壇、ブログ、特にミニブログなどへの管理を強化しなければならない」と定めており、管理不備の場合は強制封鎖も辞さないと警告している。
中国当局の同規制について、蘇州の東呉大学政治学部の徐永明・助教授は「想定内だ」とコメントした。「エジプトなどで起きている反政府デモは、国民の執政者への不満に起因している。彼らは長期にわたって権力を掌握し、しかもその政権は民主主義ではなかった。これらの特徴は現在の中国にとても似ている」と徐氏は指摘した。中国社会でも階層間の対立や不平等が深刻なため、「エジプトで起きていることは、中国の、特に知識層にとって大きな衝撃となるだろう。これは当局がメディアを封鎖する理由でもある」と分析した。
新華社に27年間勤めた経験を持つ、RFI中国語部元主任・呉葆璋氏は、今の中東情勢はすぐに中国に変化をもたらさなくても、長期的には必然的な影響を及ぼすとの見解を示した。「(東欧以来の)民主化の波がふたたび押し寄せてきている格好だ。中国各地で点々と起きている数多くの抗議事件が、いつかは全国規模に広がり、一気に爆発するだろう」と本紙にコメントを寄せている。
当局のメディア封鎖令に密かに反旗を翻すサイトも見られる。大手ポータルサイト「網易」では、新華社通信の記事を転載しながらも、コメント欄に「グレーゾーン」に近い発言が数多く残されている。「エジプト軍は市民に発砲しないと宣言している」「エジプト情勢に落ち着きが見られているのは、軍隊が武力を拒否したからだ」など、1989年の天安門事件を引き合いに出しているように見えるものや、「社会の不満が極限まで鬱積すると、甚大な結果が引き起こされる」「世界の潮流はすでに堰を切っている」という意味深長なコメントもつけられている。
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