【大紀元日本3月3日】中国四川省重慶市銅梁県のシルク繊維工場(元国営企業)は10年前、業績不振で生産停止に追い込まれた。さらに、国から県へと管轄組織が変更され、県政府幹部が工場の経営権を手に入れところ、従業員約900人が解雇された。県政府は、解雇した職員らに補償金および養老医療保険等を支払わなかったことから、元職員数十人は工場に対し、未払いの補償金などの支払いや保険の給付を求めた。しかし、工場をはじめ関係部門は全く対応せず、昨年7月、工場用地の売却を進めたため、元従業員らは工場前に座り込み抗議活動を始め、多いときには数百人規模になった。県当局は今年2月16日、特別警察、公安、消防隊、行政府の立ち退き担当者など、二千人を出動させ、抗議活動を監視し、妨害した。当時、工場前には、女性二十数人と男性4人しかいなかった。この前日には、元従業員の代表6人が勾留された。
元職員によると、2月16日午前5時ごろ、県長、県委書記、公安局長および前県委書記らが現場で指揮を執り、数十人の元職員を追い払おうとしたという。また、元職員らに放水するために大型消防車2台も現場に現れた。
一方、その前日に政府当局と話し合った元職員の代表6人が勾留され、2つのグループに分けられて異なる場所に監禁されたという。
今回の件について、本紙記者は銅梁県政府に確認したが、関係者よりシルク繊維工場はすでに個人に売却されたことから、16日の件については不明であると示した。また、宣伝部門に確認しても同様の回答だった。
職員の情報によると、この工場は1996年から赤字に転じ、1998年10月に生産を停止した。その後管轄組織が替わり、3千万元(約3億9000万円)の価値がある国有資産は当時同県組織部部長・何清泉氏の夫である張毅氏個人に300万元(約3900万円)で転売されたという。従業員871人が即リストラされ、補償金は7千元(約9万円)足らずだったという。
長年勤めた元従業員は、「当時は支払を受けて離職するしかなかった。支払時期が過ぎると補償金ももらえなくなる。最初は政府が871人に対して1人当たり平均1万6000元(約20万円)の補償金を支払う約束だった。しかし、私は27年も勤めたのに、実際に7千元足らずの補償金しかもらえなかった」と訴え、「工場は政府組織部長の夫に売却された。国家資産が個人のものになり、そいつは億万長者になった」と皮肉った。また、「さらに、医療と養老問題も解決していない。数十年間も働いた古い従業員の当時の賃金は月に僅か300~400元(約3900円)」と訴えた。
また、別の元従業員によると、2008年7月、同工場の機械設備が相次いで販売されたとし、不動産開発のために工場を取り壊し、残されたのは事務所棟だけだった。それでも当局は補償金問題を解決しないという。数十人の元職員は撤去作業者が工場に一歩も踏み入れさせないように、昨年7月17日から現在に至って、昼は工場入口で座り込みをし続けた。座り込み人数は多いときには数百人にも上った。北京へ直訴する計画をあったという。
現場にいた職員によると、以前一部の職員は工場の入口に「政府腐敗に反対」の横断幕を掲げていたため、撤去作業者は作業を進められなかった。これに対して、工場側は、関係者などに迷彩服を着用させ、塀を乗り越えさせ、スローガン等を剥がせ破壊させた。特別警察および消防隊は職員たちに向けて放水したが、抗議者たちは頑なに抵抗した。現場には多くの群衆が集まったため、当局は収拾がつかなくなることを恐れて、午前9時ごろ、撤退したという。携帯電話で現場写真を撮影した者もいたが、すべて当局関係者に取り押さえられ写真は削除されたという。
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