【大紀元日本5月21日】四川大地震で、多くの学校校舎が倒壊したことについて、この地区の建築基準に対する疑問の声が上がっている。
M7.9の地震により、都江堰市聚源鎮にある聚源中学校の校舎が倒壊し、900人以上が下敷きとなった。同校舎の瓦礫からは15日までに、60人以上の遺体が収容された。また、綿陽市でも学校が倒壊し、1000人以上の生徒が行方不明になっている。震源地周辺の一部の学校は廃墟となり、死傷者の統計が困難になっている。
ロサンゼルス・タイムズ紙の報道によると、都江堰市では少なくとも8つの学校が全壊し、何百人もの学生が生き埋めとなった。校舎が全壊した原因について、建物の老朽化や設計、劣った建築技術、劣悪な建築材料などが挙げられているが、はっきりとはまだ分かっていない。
多くの建物が廃墟と化した今回の四川大地震で、中国における建築基準の甘さが露呈した形となった。現地の住民は、手抜き工事を豆腐のおからにたとえて「おから工事」と揶揄している。
前述の聚源中学校で救助にあたった隊員のひとりは、同校舎が典型的な「おから工事」であると述べ、極めて粗悪な建築材料が使われていることを指摘した。同隊員は、倒壊の主な理由として次の三つを挙げている。
① 中学校が倒壊した聚源鎮は震源地ではない上、倒壊は余震によるものである。通常では、このような深刻な状況をもたらすはずがない。更に、校舎の周辺地にある建物は倒壊していない。
② 倒壊した瓦礫からみえた鉄筋は、基準を満たしていない。鉄筋というより、鉄のワイヤーであり、明らかに粗悪な建築材料を使っている。
③ この倒壊した校舎は、いくつかの建物を組み合わせて出来上がったものであり、構造上、明らかな欠陥がある。
今回の地震で、大勢の人が倒壊した建物の下敷きになったことについて、ロサンゼルス・タイムズ紙は中国国内のネットの書き込みを引用し、「あれほど多くの校舎が倒壊したのに、なぜ同じ地区の政府役所のビルがほとんど倒れていないのか」と問題を呈している。
1976年に中国を襲った唐山大地震以降、中国当局は日本や米カリフォルニアに劣らない程の厳しい建築基準を設けるようになったが、「実際の建築現場では、基準と大きな開きがある」と今回の震源地で働いたことのあるエンジニアは語る。「中国当局による監督が厳密に行われていないため、建築業者が利益を追求するあまりに、粗悪な建築材料を使うのは日常茶飯事」と指摘した。
広東省汕頭保税区の元シニアエンジニア、建築調査設計院の構造設計技師、副院長兼シニアエンジニアなどを歴任し、中国の工事入札審議のプロである夏一凡氏はかつて、中国国内での大型建築プロジェクトの欠陥問題を最高指導部に報告しようとしたため、地方政権の関係者から追われて海外に脱出した。現在、同氏は日本政府に難民申請を行っている。
同氏は去年4月、大紀元時報が主催するセミナーで、「中国の知られざる建築事情」をテーマに講演を行った。セミナーで同氏は、実際の写真を使い、北京五輪のために建設された北京懸索橋がわずか3カ月で倒壊した事故や、温州市の中国銀行ビルが建設中に品質問題が発覚したため解体されたことなどを挙げ、「建築物の倒壊事故が2000年から急増している」と語った。
このような建築基準を満たしていない工事を、中国では「おから工事」と呼ぶ。工事の建築品質がまるで豆腐のおからのようであることを形容した造語で、1990年代初めに、当時の朱鎔基首相がずさんな建築プロジェクトを批判する際に初めて使った。
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