【大紀元日本9月4日】国境なき記者団(Reporters Without Borders)のメナール事務局長はこのほど、フランスのクシュネール外相と会談した。その後、同外相は、今秋に予定している訪中で、中国当局に人権問題を提起すると示し、国際オリンピック委員会のロゲ会長に関連の書簡を送る考えを示した。メナール事務局長はこのほど、「希望の声」ラジオ(Sound Of Hope)の取材に応じ、会談の詳細などを説明した。
メナール事務局長は8月始めに、国境なき記者団の関係者と一緒に、北京で記者会見を開き、中国当局に対し、監禁中のジャーナリストと北京政府批判者約100人の釈放を要求したため、強制国外退去された。帰国後、同事務局長は、クシュネール外相に今回の会談を要請したという。
同事務局長は「中国において、政治の自由、労働組合の自由、個人の自由、信教の自由など、如何なる改善もみられていない」と述べ、クシュネール外相に対し、中国の人権問題を改善するには、フランス政府による外交支援は重要不可欠と強調した。それについて、同外相は、今秋に予定している訪中で、中国当局に報道・言論自由の具体的な改善策と、「良心の囚人」(注)の釈放などを要求すると表明した。
中国の人権問題が日々悪化しているため、中国当局に圧力をかけるべきだとの同事務局長の見解について、外相は共感を示したという。
同事務局長は、「いまは、中国当局に圧力をかける絶好の機会である。彼らは北京五輪を順調に進めたい。諸外国に、中国は独裁政権であることを忘れて欲しいと思っている。そうしたことから、中国当局は妥協する可能性がある」と述べ、クシュネール外相は、国際オリンピック委員会のロゲ会長に、中国の人権問題を取り上げるよう求める書簡を送ることを承諾したという。
国境なき記者団は、中国当局に監禁中のジャーナリストと北京政府批判者約100人の釈放を求めているため、今回の会談で、この釈放名簿はシュネール外相に提出されたもよう。同事務局長は、この名簿だけでは不十分だと説明し、監禁されている北京政府批判者と信教の自由を主張する関係者全員が釈放されるべきであるとした。
同事務局長は、「中国の人権問題を改善させるには、非政府組織の力だけでは不十分だ、メディアの報道や、欧米先進国の外交努力は重要不可欠」と指摘した。また、「北京五輪のスポンサーも国際オリンピック委員会と交わした公約に署名しているはず」と指摘し、中国当局の人権記録が改善されなければ、スポンサーにも圧力をかけると示した。
同事務局長は、「これまでに、フランス政府による中国民主化発展への努力が非常に乏しかった(中略)クシュネール外相が中国当局に強硬な姿勢を示そうとしているのは、フランスの人権国家のイメージを再構築するよい機会」とし、「中国当局は、自分たちの言いなりに行動、媚を売る人を尊重しないはず。異なる見解を持つ我々は、自己の正しい信念を貫くときに、他国からの尊敬が必ず得られるはず」と強調した。
国境なき記者団は、言論・報道の自由を擁護する、ジャーナリストによる国際的な非政府組織。1985年にパリで設立された。世界中で拘禁や殺害されたジャーナリストの救出と、その家族を支援している。各国のメディア規制の動きを監視・警告するのが主な活動である。
(注)良心の囚人…国際的民間人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルが提唱している用語で、非暴力であるが言論や思想、宗教、人種、性などを理由に不当に逮捕された人をいう。
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