米大手ウォルマート社、中国仕入れ業者に労働者権益の改善警告

2007/07/27
更新: 2007/07/27

【大紀元日本7月27日】世界最大手の小売企業ウォルマート社は、中国仕入れ業者2社に対し、労働者権益に違反する関連報告書を提出するよう要求し、必要な改善を行うよう求めた。国際労働組合団体は、欧米の国際大手企業は中国の労働者権益を促進するリード役になるべきだと示した。米国VOAが報じた。

 ウォルマート社のスポークスマンによると、同社はすでに中国の2社の仕入れ業者に「オレンジ警告」を出し、規定する期間内に、労働者待遇の改善を要求した。ウォルマート社の内部監察制度では、「オレンジ警告」は対象者が本部の重点監察対象になるのを意味し、120日間以内に、結果を示さなくてはならない。2年以内に4回以上のオレンジ警告を受けると、仕入れ契約を取り消しする。

 今回、警告を受けたのは、中国飛達・帽業控股有限公司と、裕栄昌・軽工製品有限公司。今年6月、国際労働組合連合(ITUC)などの団体が共同で公表した報告書は、上記の2社は、利奇・文教用品有限公司と、意高・皮革製品有限公司と同様に、労働者の賃金が法定賃金を下回ることや、長時間労働、児童工雇用などの労働者権益を著しく侵害する問題点を指摘した。中国当局がこれらの4社を、2008年北京五輪の文具、手袋、帽子、記念グッズの製造業者と指定している。

 ウォルマートのスポークスマンは、「自社が国際労働組合連合の報告書を知った後、ただちに深セン市にある仕入れ先の裕栄昌・軽工製品有限公司を調査、長時間労働の疑いを確認できたが、法定賃金を下回る給料設定の証拠をまだ得ていない」と公表し、「同様に、自社の仕入れ先である飛達・帽業控股有限公司への調査は、国際労働組合連合の報告書公表前から始まった。2005年から、ウォルマートはすでに同社に3回のオレンジ警告を出した。労働者の給料を過少支給するのが主な問題」と明らかにした。

 米国労働者権利を提唱する「公平労働者協会」は国際労働組合連合による中国での労働者権益違反の調査に参加した。同組織の執行主任ジョージ・ロペーズ氏はVOAの取材で、「違法に労働者の給料を低く抑え、無報酬労働時間を延長するのは、中国の工場で普遍的に存在する問題。しかも、工場の管理者は検査に対応する常套手段までに開発した」と指摘。

 ロペーズ執行主任は、「多くの状況において、事実の真相を隠すために、工場は2つあるいはさらに多い帳簿を用意している。調査員が監察に訪れると、工場側が提出するのは改ざんした偽造記録と帳簿。目的は、労働者に得るべき給料を払わないため。得るべき残業代を払わないためである。結果として、労働者の権利を侵害している」と説明。

 ウォルマート社がオレンジ警告3回も発した飛達・帽業控股有限公司は、仕入れ契約が無効になる寸前に瀕した。飛達社の何・総裁は、自社を血汗工場(血と汗が滲む工場、労働者権利を著しく侵害する工場の代名詞)に形容するのは「恥知らずの誹謗」と反論、取材に対し、自社の労働者平均月給は142ドル、深セン市現地の法定賃金を57%上回ると説明した。また、何・総裁は書面声明文で、自社3千人の従業員の平均残業時間は月55時間から58時間、政府の規定上限を超えていないと強調。

 米国最大の労働組合「労連-産連」に属する産業労働組合理事会のボブ・バウ執行主任はVOAに対し、「労働者に無報酬残業を強いる現象は、中国の私有企業と外資系工場では普遍的に存在。問題の根源は地方政権にある」と指摘、「これは中国の工場で普遍的に存在する現象。地方政権は、労働者の残業と労働報酬に関する法律すら制定していない。もちろん、法律を執行するのはなお更不可能である。国際人権団体と米国政府は、中国国内のこのような労働者権利を違反する行為を調査・記録した。このように中国工場が労働者の給料を低く抑え、労働保護を実施しない、労働者が享有すべき福利厚生などを剥奪するなどのやり方を鑑みて、いま、メディアが暴露している一連の新しい事実もまったく不思議ではない」と見解を示した。

 中国オリンピック委員会は、上記の国際労働組合連合が指摘するオリンピックグッズ指定生産業者4社の労働者権益の違反について、「調査は終焉段階を入り、数点xun_ネ内に調査結果を公表」と示した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「中国当局はオリンピック開催で国際人権団体の強い圧力を受けているため、今回の労働者権益侵害問題で高姿勢を示す見込み」と報じた。

 ウォルマート社は最近、「中国の市場を極めて重要視している。未来5年間、中国で現存する80数軒のチェーン店を倍に拡大。中国小売市場の2割を占める目標」と公表、「中国での商業利益を迅速に拡大すると同時に、弊社は中国の企業と仕入れ業者で働く労働者の権利を高度に重視している」と強調。

 前述のボブ・バウ執行主任は、「欧米の国際大手企業は、中国での労働者権益を提唱するリード役になるべき。この分野においては、中国当局と国際労働組合の共同努力が必要」との見解を述べ、「我々は2方面の努力が必要。①中国当局自身、および地方政権が前に出て、労働者の権益を保護し、関連の労働者権益を定める法律を執行しなくてはならない。また、これらの法律を完備・強化しなくてはならない。②我々は国際労働組合として、米国とその他の国際大手企業に対し、中国とビジネスを展開する際に、自国の労働者のように、中国の労働者を対処すべき。彼らを差別・虐待してはならない」と述べた。