東京:台湾研究フォーラム、「日台関係セミナー」開催

2006/09/11
更新: 2006/09/11

【大紀元日本9月11日】台湾研究フォーラム(代表:永山秀樹氏)は2日、東京新宿の京王プラザホテル43階で「日台関係セミナー」を主催、「東京台湾の会」「台南会」「アジア安保フォーラム」などの後援で、国内外の識者をパネリスト、通訳、コメンテーターとして招聘し、台湾の国連復帰問題、台湾の対中投資問題、台湾海峡の安保問題などについて討論した。

前台湾国策顧問の邱垂亮氏(豪ニュークィーンズ大学教授)は、台湾の国連代表権問題に関し、台湾は「中華民国」では申請できないとの認識を示した。これに対し、台湾人を祖父に持つ司会の石戸谷慎吉氏は、台湾は「南北朝鮮」「東西ドイツ」とは違い分裂国家ではないと説明、「中華民国」は既に現在の中共・中華人民共和国が代表しているので、代表権問題が生じており、台湾が「中華民国」と名乗る危険性について抵触した。

アジア安保フォーラム幹事の宗像隆幸氏は、現在の国連安保常任理事国五カ国の内、「中華民国」が台湾でなく、中華人民共和国が代表していることについて、これが71年の国連アルマニア決議案に由来、当時の周恩来首相が台湾を国連から追放するために画策、「当時の中華民国は中華人民共和国によって大陸で滅ぼされた、ゆえに中華民国の一切の権利は、中華人民共和国が継承する」との概念だという。ゆえに、台湾人民は大陸時代から継承してきた「中華民国憲法」を民意によって新たに改正すべきとの認識を示した。

元第一商業銀行会長・黄天麟氏は、李登輝政権時代に経済顧問として助言してきた経験から、国内で6000万人を虐殺してきたナチス同様の中共政権が「台湾経験」によって経済開放を学習し、経済力をつけてきたことに憂慮、現在の共産中国のバブル経済は、台湾が大量投資した資産が主導しており、日本のバブル経済崩壊も台湾が対中投資を本格化した90年代初頭から影響が顕著になったとの認識を示し、台頭する中国の国力・影響力によって太平洋周辺諸国の台湾・日本などが政治的・経済的に吸収される「周辺化」の懸念を示した。

元ワシントン駐在防衛官の川村純彦氏(元海将補)は、台湾海峡の安保問題について、現在は中短距離ミサイル以外さしたる脅威はないものの、将来的に中共海軍の原子力潜水艦の脅威が増大するとの認識を示し、対潜哨戒機「P3C」を台湾海軍が導入することにより、米太平洋軍司令部と情報面でリンクし、米・日・台が情報面でデータ・リンケージするパッケージ・システムが台湾海峡の戦略性を劇的に好転させるとの認識を示し、台湾国会がこれに防衛予算を充当する法案を可決する方向性を支持した。

農学博士の廖建龍氏は、80年代から90年まで中国現地で日系企業の顧問をしてきた経験から、中国経済が外資の直接投資によって支えられてきたもので、安価な人件費によって輸出産業を昂進してきたが、中国企業が軒並み減益していることに注目、「経済力は決して強くない」と発言し、現在は外資が経済原理によって投資を継続しているが、近い将来「投資に見合わなくなる」何らかの要素が生起してくるだろうとの認識を示した。

台湾立法委員・台湾団結連盟の何敏豪氏は、台湾大統領選挙時に台湾海峡にミサイルを発射して以来、中共は台湾に向けて800発近いミサイルを照準して、台湾人民を武力的に恫喝し、国際政治の場においてもその行く手を阻んでいる事実を挙げ、国防委員会に長く在籍した経験から、P3Cの導入には全面的に賛成し、同法案の国会通過に全力を尽くしたいとの意向を示した。米国には台湾に対する「台湾関係法」があるので、日本にも同様の法案があれば、極東の安保に大きな利益があるとの認識を示した。

前拓殖大学総長・小田村四郎氏は、日台関係について、台湾の若年層に反日派が一部生起してきていても、日台関係は基本的に何ら心配の余地がないとし、次期自民党総裁に安倍氏が就任すれば、中韓には毅然とした態度を採ると予測、問題はむしろ台湾側にあると指摘した。台湾は、中共が「反国家分裂法」を制定した当時、国民党幹部が相次いで「北京詣で」を繰り返し、P3C導入に対する法案にも国民党が反対して成立しない情況があるが、「武攻に対する力がなければ、文攻に対する力も無い」との考えを示し、台湾人民に自国を守る決意があれば、日台関係には問題が生じることはないとした。