【大紀元日本2月9日】ブリュッセルに本部を置く研究機構『国際危機グループ』は、このほど発表した「中国と朝鮮は永遠の同志なのか?」という報告の中で、北朝鮮の核問題で、中国の北朝鮮当局に対する影響は、外界が想像するより弱いと指摘した。北朝鮮に圧力を加えようとしても、中国に頼ることはできない。しかし、人知れず進む北朝鮮に対する中国の経済的浸透は、平壌当局の転換を促す良いプロセスであるといえる。ドイチェ・ベレが伝えた。
国際危機グループの報告は、中国の北朝鮮に対する影響力は北京当局が承認するより大きいが、人々の多くの認識よりずっと小さいと指摘。そのため、国際社会は中国の利益から鑑み、外交方面における達成度には限度があることを認識する必要があると指摘している。
多くの西洋人の目に中国と北朝鮮は、親密な同盟関係であるように映っている。しかし、時が経って状況は変わり、戦争時分に献血により固い絆を結んだ友情は過去のものとなってしまった。国際危機グループ東北アジア・プロジェクトの責任者、ピーター・ベーカー氏は「中朝両国の指導者間には、決して特別な好感はなく、もし、もっと良い選択があるのなら、中国は朝鮮を核保有国にはしたくないだろう。なぜなら、日本と台湾に核防衛プロジェクトを発展させる口実を与えるから。中国は北朝鮮を支持しているが、北朝鮮を安定もさせたくなく、南北双方の政局に抵触しない立場を採っている」と指摘した。
中国は、喜んで仲介役を演じる。それは東アジア地域と国際上で積極的に非核武装化を推進するという名誉を勝ち取ることができるだけではなく、更に対米関係においてもプラスになる。しかし、ベーカー氏は「中国の北朝鮮に対する影響力は限られている。たとえ、中国が圧力を強化しようとしても、本当に効き目のあるものは経済手段だけだ。中国と北朝鮮の政治関係は、決して表面上で感じるような緊密な関係ではない。しかし、経済上中国は北朝鮮の生命線とも言えるだろう。もし、中国が朝鮮との協力を停止するとなると北朝鮮の経済は混乱を起こすだろう。しかし、これはリスクが余りにも大きすぎて、北朝鮮は政局の不安定が現われ、甚だしきに至っては政権が崩壊する恐れさえ考えられる。中国はこのリスクを冒したくないだろう」と述べている。
グループの専門家は「中国は米国と同様に、即北朝鮮半島の非核化を実現するという目標がある」と述べた。しかし、中国にとって北朝鮮の情勢の安定、政権の存続はなにより重要なことである。中国は、まず北朝鮮の政治崩壊がもたらす難民ブームと経済負担から免れ、そして、朝鮮半島の軍事緊迫を阻止することである。長期的に見て、朝鮮半島全体に対する米国主導の局面を防止しなければならない。そのため、中国に朝鮮を説得して国際社会と協力するように期待することは時間の無駄であり、平壌当局の核兵器発展に時間的猶予を与えることになるだろう。
報告では、長期的な視野に立って、中朝間の経済交流が北朝鮮体制の改革と開放につながる最も良い道だとみている。中国は、まず一方的な経済援助を二国間の貿易と投資に転化することを望んでいる。同時に、中国はまた隣国の北朝鮮の経済開発を推進し、経済力が脆弱な東北部3省を安定させようとしている。
北朝鮮が2002年から開始した経済改革は、進展が緩慢で政策は前後している。しかし、何とか人々にかすかな希望を与えている。金正日総書記はこのほど、中国南方の経済開放特別区を訪問、外部はこれに熱く注目、北朝鮮の指導者が中国の発展を視察後、国内の改革を加速させると期待した。
報告では、「中国の指導者は北朝鮮指導者が改革の意欲に欠けていることに非常に失望して、改革を更に深めるのは難しいと感じている。中国の最低線は、北朝鮮に不安定ひいては動乱を発生させないこと。もう一つの選択肢は、核兵器を持たせても妨げないこと」と述べている。
危機グループ報告の推測ではまた、中国は朝鮮半島分裂の政局維持を望んでおり、双方に対する影響力を維持したい意向。その他、台湾問題で米国との対立が発生した時、北朝鮮問題は中国の「対米カード」の一つになるという。
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