IMF 人民元は21.3%過小評価 中国に内需拡大と財政刺激を要求

2026/10/16
更新: 2026/10/16

国際通貨基金(IMF)は、中国経済について、内需の弱さなどを背景に人民元が実質ベースで過小評価されているとの見方を示し、中国共産党(中共)当局に対して財政支出を拡大し、経済の不均衡を是正するよう求めた。

ブルームバーグによると、IMFと世界銀行は10月15日、タイ・バンコクで年次総会を開き、世界経済や金融をめぐるリスクについて議論した。

IMFアジア太平洋局長のクリシュナ・スリニバサン氏は、中国の経済成長は依然として外需への依存度が高く、現在の財政刺激策は規模、対象ともに不十分だとの認識を示した。中共に対し、内需をさらに押し上げ、経済の不均衡を是正するよう求めた。

中共が打ち出している需要喚起策について、スリニバサン氏は「まだ十分ではない」とし、「需給の不均衡を解消するには、より大胆な措置が必要だ」と述べた。

中共は過去1か月、初回住宅購入者向けの住宅ローン利子補助や、地方政府が未使用の債券発行枠5500億元を活用する措置などを打ち出した。こうした一連の政策は「ミニ刺激策」とも呼ばれている。

IMF「より大規模な財政刺激が必要」

スリニバサン氏は、中国経済がなおデフレの瀬戸際にあるとして、より大規模で幅広い財政刺激策を打ち出す必要があると指摘した。

不動産市場をさらに安定させるほか、家計の消費意欲を回復させ、社会保障を強化することで個人消費を支える必要があるという。

また、中国経済の成長を支えているのは依然として国内消費ではなく、主に輸出だとした。

スリニバサン氏は、中共が長年、経済の不均衡に十分対処してこなかったことで、人民元の実質的な価値が低下し、地方政府の債務リスクなどの問題解決も長引いているとの見方を示した。

人民元、実質ベースで21.3%過小評価

IMFが公表した2026年の最新評価によると、人民元は実質ベースで17.3~25.3%過小評価されており、中央値は21.3%だった。

スリニバサン氏によると、中国のインフレ率が極めて低いことから、人民元の実質実効為替レートは低下している。

実質実効為替レートとは、主要な貿易相手国の通貨に対する為替レートを、物価変動で調整した指標である。

中国の低インフレによって人民元の実質的な価値が低下すれば、中国製品の国際的な価格競争力が高まり、貿易黒字の拡大につながるとスリニバサン氏は説明した。

中国の貿易黒字、過去最高更新の可能性

中共税関総署が10月14日に公表した貿易統計によると、今年の中国の貿易黒字は、2025年に記録した1.2兆ドルを上回り、過去最高を更新する可能性がある。

これまでにも一部の経済学者や欧州の指導者から、中国に人民元の切り上げを促すため、各国が協調して対応するよう求める声が上がっている。

欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁は今年6月、G7やEUの会合をめぐり、為替水準について協議するのであれば中国も対象に含める必要があるとの考えを示した。また、世界の指導者に対し、「人民元が過小評価されている」問題に向き合うよう求めた。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相も、EUの会合で人民元が20~30%過小評価されているとの見方を示した。

メルツ氏は「人為的に低く抑えられた為替レートは、自国の経済競争力を高めようとする国にとって有利に働く」と述べた。

ほかの国の指導者からも、中共に人民元の上昇を容認するよう求める声が出ている。中国製品の大量流入によって国内の生産者が打撃を受け、雇用が失われることへの懸念が背景にある。

任義