中国共産党(中共)の空軍が初めて海外に基地を設置した。中共軍は、東南アジアのラオスの首都ビエンチャンから北へ約30マイル(約48キロ)のバンクン空港に、「中国・ラオス共同支援訓練センター」を設けた。
1960~1970年代、米中央情報局(CIA)はラオスの共産主義勢力を攻撃するために同空港を利用していた。今では、その場所に共産党が拠点を構えている。状況は楽観できない。
中共軍が新設した施設は、表向きにはラオス軍の操縦士を訓練し、「両軍の実務協力を強化し、地域の平和と安定を維持する」ためのものだ。軽攻撃能力を備えたロシア製と中国製の練習機を使い、ラオスの操縦士を訓練する可能性が高い。
しかし、滑走路の拡張工事が進んでいることは明らかで、最終的には、より大型で高性能な中共軍の軍用機や偵察機に、東南アジアでの後方支援基地を提供する可能性がある。
中共軍はすでに、東アフリカのジブチと東南アジアのカンボジアに海軍施設を持ち、アフガニスタンに近い中央アジアのタジキスタンにも対テロ基地を設けている。中国はラオスと国境を接し、経済・外交面で極めて大きな影響力を持つ。そのため、ラオスは中共政府の「従属国」と呼ばれることもある。
中共政府が、例えば債務負担の軽減を交換条件に、ラオスにある中共軍の施設を軍事基地へと発展させたいと考えても、意外ではない。貧しい内陸国であるラオスは、主に中共がもたらした債務のわなから抜け出そうとしている。内陸国であることに債務問題が加わり、経済的な苦境を深めている。
ラオスには、中国の雲南省につながる比較的新しい鉄道がある。中国からの4億8千万ドルの融資を受け、2016年に完成した。一部のラオス人は、中共が支配するこの鉄道によって、ラオスが東南アジア大陸部の他の地域を結ぶ「交通の結節点」になることを期待している。しかし長期的には、中国の輸出入業者が東南アジアの港や市場にアクセスしやすくなるだけの可能性が高い。
ラオスはまた、2012~2017年に中国から多額の融資を受けた水力発電・送電網事業によって、重い債務を背負っている。これらの事業は、ラオス国内の電力供給を過剰にした。
ラオスは、目指していた「東南アジアの電池」にはならなかった。代わりに、国全体が現在、約170億ドルの公的債務の返済に苦しんでいる。2020年、ラオスは国の送電網運営会社の株式90%を中国の国有企業に売却した。
中共政府が過去に推進した同様の「拠点」づくりは、南アジアのスリランカなどでも同様の債務危機を招いた。スリランカの港全体の99年間の使用権を中共に明け渡す事態や、国内政治の混乱と不安定化も起きた。
ラオスが将来民主化し、中共政府の影響から脱しようとする場合、同国で拡大する中共の影響力は、懸念すべきリスクをもたらす。それは、中共軍の軍事的プレゼンスの増大と、ラオス軍指導部への影響力である。これこそ、中共軍がラオスで軍事的プレゼンスを拡大し続けることによって、同国の民主主義と人権の擁護者にもたらされる最大の脅威だ。
中共軍のラオス駐留は、隣国のタイとベトナムに対する中共の軍事的圧力も強めている。中共政府の影響力の拡大は、タイとベトナムの主権を侵害しているといえる。その影響は両国の国内問題にとどまらず、両国の全ての隣国にも及んでいる

タイは、東南アジア大陸部で唯一、米国と条約に基づく同盟関係にある国だ。米タイ両軍は毎年、タイで大規模な合同演習を行っている。これは両国の強固な軍事的つながりを示しており、中共政府が揺るがすのは難しい。しかし今では、中共軍はラオスの空軍基地から、これらの演習をより容易に監視できる。
ただし外交関係では通常、自主的かつ現実的に行動するタイの、中国との経済・外交・軍事面での接近を止める可能性は低い。台湾で戦争が起きても、タイ政府が米軍にタイ国内の基地などを使わせることを認めにくくなる。
ベトナムは、中共政府が南シナ海全体を支配するのを阻止するため、国際法に基づく反論や国際社会への働きかけを続けている。中共政府が南シナ海の支配を図る行動には、1974年、1979年、1988年にベトナムとの間で起きた大規模な戦争や衝突が含まれる。
それ以降、中共軍は、ベトナムによる南シナ海の石油、天然ガス、漁業資源などの開発を積極的に阻み、場合によっては武力も行使した。中共軍の新施設の完成により、ベトナムの首都ハノイは今や、中国の雲南、広西、海南の3省にある空軍施設に囲まれるだけでなく、ラオス国内の中共空軍施設にも脅かされている。ベトナム軍は、この点にすでに気づいている可能性が高い。
資源の観点から見ると、ラオスにおける中共の影響力が極めて重要である理由は2つある。
第1に、ラオスはミャンマーからの重希土類鉱石の輸入に代わる供給源となり得る。中国は重希土類の約99%を精製しており、ほぼ独占しているその加工能力を米国や日本との交渉の切り札に使っている。
第2に、ラオスは東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国であり、カンボジアとともに、同組織内で中共政府の影響力を弱める動きに拒否権を行使できる。ASEANの決議には全加盟国の合意が必要で、ラオスかカンボジアが反対すれば決議を阻止できる。フィリピンやベトナムなどの加盟国が、ASEANを通じて中共の南シナ海での拡張的な主張を非難しようとする際、これは中共政府にとって非常に有用だ。
米国は、ラオスに新設された軍事施設への対応として、同国への関税引き上げや経済制裁を検討すべきだ。現在、米国のラオスに対する平均関税率は約8%であり、世界の民主主義にとって最大の脅威を助長する国々が、決して責任を免れることはないと示す余地は十分にある。
責任編集:高静

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