中華民国と中華人民共和国は「互いに所属しない」 国連2758号決議めぐり台湾の地位で攻防 

2026/09/30
更新: 2026/09/30

1971年に採択された国連総会第2758号決議(アルバニア決議)を巡り、台湾の国際的地位や国連参加をどう位置付けるかについて、中国と台湾の違いが改めて浮き彫りとなっている。

同決議は中華人民共和国を国連における中国の唯一の合法的代表と認め、蔣介石の代表を国連から追放することを決定した。一方、決議を台湾の地位とどこまで結び付けることができるかについては、中国側と台湾側で解釈が大きく異なっている。

台湾外交部は約150語からなる第2758号決議の全文には「台湾」の名称が一切記載されていないと指摘した。決議が定めたのは中国の国連代表権に関する問題であり、「台湾が中華人民共和国の一部である」とも、中国に台湾を国際社会で代表する権利があるとも規定していないとの立場であると表明した。

台湾側はこの解釈に基づき、第2758号決議を台湾の国連システムへの参加を排除する根拠として利用することは不当だと主張している。また、中華民国(台湾)と中華人民共和国は「互いに所属しない」とし、民主的に選ばれた台湾政府だけが台湾の人々を国際社会で代表できると主張している。

米国の立場

先日行われた米中首脳会談においても米中首脳の間で台湾問題が取り上げられた。

中国共産党(中共)党首の習近平は米国に対し、従来の「台湾独立を支持しない」という立場から、中共側に踏み込んだ「台湾独立への明確な反対」へと表現を変更するよう強く求めた。

これに対し米国側は、会談後に公表した成果文書に台湾への言及を含めず、駐中国大使などを通じて「一つの中国政策」や台湾関係法に基づく従来の対台政策に変更はないと表明。中共政府側の要求を受け入れず、従来の姿勢を維持した。

また、米側文書にあった「第二次大戦時の米一同盟」という表現に台湾側が反発する動きもあったが、米国の安全保障関与の枠組み自体に変化は見られなかった。

第2758号決議をもって、台湾を含む中国全体の国連代表権問題が政治的、法的、手続き的に解決されたとの立場を取ってきた中共政府は、台湾は中国の不可分の領土であり、国連や主権国家を対象とする国際機関に参加する権利はないと主張し、「一つの中国」原則を掲げ、「二つの中国」を認めない立場から、「一国二制度」による統一を求めてきた。

米国の「一つの中国政策」は、中国政府が掲げる「一つの中国原則」とは異なり、米中共同声明などで中国側の立場を「認知(acknowledge)」しているが、中国による台湾への主権主張を米国自身の立場として正式に承認しているわけではない。

米国は台湾関係法と「六つの保証」を対台湾政策の重要な枠組みとし、台湾への防衛用兵器の供与や、台湾が十分な自衛能力を維持できるようにする政策を続けてきた。

近年、トランプ政権下では、この従来の枠組みを維持する一方、台湾政策を巡る「戦略的曖昧さ」がさらに強まったとの分析もある。最近では、台湾に防衛費の大幅な増額を求める一方、大型の武器売却を承認するなど、安全保障面で複数の動きが並行している。

駐中国米大使の発言を巡って台湾への武器売却を示唆したとの懸念が浮上した際にも、米政府と台湾外交部は、米国の対台湾政策や台湾関係法、「六つの保証」に基づく関与に変更はないとの立場を再確認した。

また米議会では、第2758号決議が台湾の主権を決定したものではないとの立場を明確にする「台湾国際連帯法」など、決議を巡る中国側の解釈に対抗する動きも進められている。

日本の立場

台湾の問題については、2025年11月の国会答弁で、高市早苗首相が台湾への武力攻撃は日本の「存立危機事態」になり得ると発言したことに対し、中国は「一つの中国」原則に反する内政干渉だとして強く反発した。

しかし日本政府は1972年の日中共同声明に基づく従来の立場を維持しており、日本政府は中国政府が「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする立場について「十分理解し、尊重する」としている。高市政権も、この基本方針を維持している。

高市早苗首相は2025年12月3日の参議院本会議で公明党・竹内真二議員との質疑で台湾に関する政府の立場を問われ、「台湾に関する我が国政府の基本的立場は1972年の日中共同声明の通りであり、この立場に一切の変更はない」と述べた。

第2758号決議を巡る解釈

第2758号決議を巡っては、中国側が台湾を含む中国全体の代表権問題を解決した決議と位置付けるのに対し、台湾側は中国の国連代表権だけを扱った決議であり、台湾の地位を決定したものではないと反論している。

米国は中国の「一つの中国原則」と異なる独自の「一つの中国政策」を維持し、日本政府も日中共同声明に基づく立場に変更はないとしている。