反グローバリズム政党 AfD ドイツの重要州議会選で勝利

2026/09/07
更新: 2026/09/07

右派政党は旧東ドイツ地域のザクセン・アンハルト州で歴史的勝利を収めた。ただし、政権を樹立できるかは不透明である。

 

出口調査によると、「ドイツのための選択肢(AfD)」は9月6日に行われたザクセン・アンハルト州議会選挙で得票率44.5%を獲得し、ドイツ東部の同州で第1党となった。

2002年から人口210万人の同州で政権を率いてきたフリードリヒ・メルツ首相の中道右派、キリスト教民主同盟(CDU)は、得票率が2021年の37.1%から18.5%へ低下した。

今回の結果はAfDにとって大きな躍進であり、メルツ氏率いるCDUにとっては打撃となった。しかし、AfDが選挙での勝利を州政権の掌握につなげられるかは、依然として不透明である。

AfDのザクセン・アンハルト州首相候補、ウルリヒ・ジークムント氏は、「国外追放・再移住攻勢」、州独自の出産一時金、公共放送の縮小、規制緩和と減税、州省庁数の削減、新型コロナウイルス危機への対応を検証する議会調査委員会の設置を公約に掲げて選挙戦を展開した。

出口調査によると、AfDに加え、少なくとも四つの政党が州議会に議席を得る見通しである。CDU、極左の左翼党、左派の社会民主党(SPD)、緑の党である。

揺らぐ「防火壁」

今回の選挙は、AfDとの連立を拒否するというドイツの既成政党間の合意、いわゆる「防火壁(Brandmauer)」にとって、これまでで最も厳しい試練となる。

AfDは2024年9月、隣接するテューリンゲン州で得票率32.8%を獲得して第1党となったが、3党による少数与党政権が発足したため、政権には加われなかった。ザクセン州とブランデンブルク州では僅差で第2党となった。

ザクセン・アンハルト州では、AfDは2016年に得票率24.3%で州議会に初進出して以来、野党の立場にある。2021年の得票率は20.8%に低下し、ライナー・ハーゼロフ氏率いるCDUが明確な勝利を収め、SPD、自由民主党(FDP)と連立政権を樹立した。

AfDの支持率はその後、急上昇した。2025年2月の連邦議会選挙では、同州で37.1%を獲得した。同選挙でAfDは、ベルリンを除く旧東ドイツ地域の全州で第1党となった。州議会選挙直前の最終世論調査では、支持率は40~43%に達していた。

AfDの支持拡大と並行して、当局による監視も強まった。ザクセン・アンハルト州の国内情報機関は2023年10月以降、同州のAfD支部を「確認された右翼過激派」組織に分類している。同機関によると、同支部の党員数は昨年、3分の1以上増えて3500人となった。

連邦の情報機関も2025年5月、AfD全体を同様に分類した。AfDはこの決定を不服として、裁判所で争っている。

連邦機関による決定は、米政府からも強い批判を受けた。

マルコ・ルビオ米国務長官は2025年5月、Xへの投稿で「ドイツは今、情報機関に野党を監視する新たな権限を与えた。これは民主主義ではない。専制政治を偽装したものだ」と述べた。

この分類は、世論調査におけるAfDの支持率をほとんど低下させていない。全国ではAfDが首位に立っている。政治調査機関インフラテスト・ディマップが実施した8月のARD「ドイチュラントトレンド」調査によると、AfDの支持率は過去最高の28%となり、メルツ氏率いるCDUを7ポイント上回った。

ドイツ国民の85%が連邦政府を否定的に評価し、メルツ首相に満足している人は14%だった。

AfD共同党首のアリス・ワイデル氏は8月、ドイツ第2テレビ(ZDF)に対し、AfDは州で政権を担い、最終的にはベルリンでも政権を握ると述べた。

次の試金石は9月20日に訪れる。AfDが約37%の支持率で首位に立つメクレンブルク・フォアポンメルン州と、ベルリンで、それぞれ議会選挙が行われる。

何がAfDへの投票を後押ししたのか

移民と治安はAfDを代表する政策課題であり、ザクセン・アンハルト州では、ある特定の事件と結び付いている。

2024年12月20日、2016年にドイツで亡命を認められたサウジアラビア人医師が、レンタカーでマクデブルクのクリスマスマーケットに突入し、6人を死亡させ、300人以上を負傷させた。医師は6月、終身刑を言い渡された。

数字は、この問題に対する有権者の意識がどのように変化したかを示している。公共放送MDRのためにインフラテスト・ディマップが7月に実施した調査では、移民問題が教育や経済を上回り、同州の最重要課題に挙げられた。

また、有権者の36%が、同州の主要課題への対応で最も信頼できる政党としてAfDを挙げ、CDUは16%だった。5年前はAfDが9%、CDUが40%だった。

同州の外国人人口は2025年末、過去最多の19万2155人に達し、2015年の8万3051人から2倍以上に増えた。最も大きく増加したのは、ウクライナとシリアの出身者だった。

経済問題も最重要課題の座を争っている。投票日の1週間前に実施されたZDF「ポリトバロメーター」では、有権者の関心事として、経済が22%、失業が17%、学校が17%で上位を占めた。

連邦雇用庁によると、7月の失業率は8.1%だった。

エティエンヌ・フォシェール(Etienne Fauchaire)はパリを拠点とするエポックタイムズのジャーナリストであり、フランス政治および米仏関係を専門としている。