中国 歌詞を変えたら「政治問題」に

中国人気芸人、舞台で革命歌をアドリブ改変 通報され当局が調査

2026/08/13
更新: 2026/08/13

中国の人気芸人が、舞台で革命歌の歌詞をアドリブで変えたところ、観客に通報され、当局が正式に調査を始めた。

いったい、何を歌ったのか。

 

「紫禁城は静まり返っている」

中国には「相声(そうせい)」という伝統的な話芸がある。語りや歌、掛け合い、身ぶりやギャグを交えて観客を笑わせる、日本の漫才にも似た芸能だ。

その相声界で長年活躍しているのが郭徳綱(かく・とくこう)氏。相声劇団「徳雲社」を率いる男性芸人で、テレビや舞台などでも広く知られている。

騒動が起きたのは7月24日、湖北省武漢での公演だった。

郭氏は舞台で、中国共産党の革命を題材にした映画『鉄道遊撃隊』の有名な挿入歌『弾起我心愛的土琵琶(邦訳:愛する琵琶をかき鳴らせ)』を歌った。中国では、こうした共産党や革命をたたえる歌を「紅歌」と呼ぶ。

本来の歌詞は「西の太陽が沈もうとしている。微山湖は静まり返っている」。郭氏はこの「微山湖」を、アドリブで「紫禁城」に変えた。

紫禁城とは、北京にある現在の故宮のこと。かつて皇帝が暮らした場所で、中国最高権力の象徴でもある。

そのため、「太陽が沈む」に続いて「紫禁城は静まり返っている」と歌ったことで、「北京の最高指導者の時代が終わる」という皮肉ではないかと受け取る人が現れ、通報に発展した。

もちろん、郭氏本人が習近平氏や現政権を指したと説明したわけではない。

それでも武漢市当局は8月11日、変更した歌詞が事前に届け出た公演内容に含まれていなかったとして、正式に調査を開始。劇団側はその後、問題となった部分を公演から削除した。

ネットでは「太陽は沈んではいけないのか」「歌詞を一言変えただけで通報されるのか」と、あきれや皮肉の声が相次いだ。

「紫禁城」と歌っただけで最高指導者への批判を疑い、舞台の冗談にまで政治的な意味を探す。今の中国は「草木皆兵」、つまり何を見ても敵や批判に見えて、過剰に警戒しているようだと指摘する声も目立つ。

中国では、笑いを取るための一言も、政治を連想させれば笑い話では済まないようだ。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!