中国のSNSには、スマホの広告に振り回される利用者の動画があふれている。
「なんでこんなに面倒なの?」「閉じてもまた出てくる!」「勝手にアプリまでダウンロードされた!」
口をそろえて聞こえてくるのは、そんな怒りと悲鳴だ。
天気を見たいだけ。写真を撮りたいだけ。それなのに広告を一つ閉じれば、また次の広告。ようやく消したと思ったら、今度は別のアプリがダウンロードされる。
そんな中国スマホの「広告地獄」を実演する動画が、SNSには次々と上がっている。
例えば、低価格帯から高性能モデルまで幅広く展開し、日本でもスマホを販売する中国大手のシャオミ(小米)。その「Redmi Turbo 4」を使う男性は最初から入っている天気アプリを開き、「天気予報」をタップした。
すると「不要データがたまっています」といった表示が出た。
「削除」を押すと、なぜか配車アプリ「DiDi」の広告へ飛ばされた。
「スキップ」を押す。
今度は「本当に終了しますか?」
「今すぐ終了」を押す。
すると、また広告。
閉じると「このページを離れますか?」
「離れる」を押す。
それでも終わらない。今度は、頼んでもいないニュースアプリまで勝手にダウンロードされる始末だ。
男性は「早くこの広告のループから抜け出したい」「もうこんなページから離れたい」と、何度も「終了」や「離れる」をタップした。
しかし広告はなかなか消えず、最後にはスマホそのものが固まり、画面を押しても反応しなくなった。男性によると、わずかな時間に3つのアプリが勝手にインストールされたという。
しかも、こうした「広告地獄」に困っているのは、この男性だけではない。
8月2日には安徽省の世界遺産・黄山で、高齢者が伝統行事「魚灯」のショーを撮影しようとスマホを構えたところ、約30秒間に20回ほど広告が表示される様子がSNSで話題になった。
目の前では、せっかくのショーが続いている。ところがスマホの画面に出てくるのは広告ばかり。高齢者は小さく分かりにくい「閉じる」ボタンを探して悪戦苦闘し、あげくには誤って複数のアプリまでダウンロードしてしまった。
結局、シャッターを一度も押せないまま、記念写真は一枚も撮れなかった。
ネットも怒りとあきれの声でいっぱいだ。
「見ているだけでスマホを投げたくなる」「これが結局iPhoneを使い続ける理由」。
「うっとうしい」で済めばまだいい。心配されているのは、スマホに不慣れな高齢者が広告に誘導され、知らないうちにアプリを入れたり、ネット融資や保険などを申し込んでしまったりすることだ。
広告そのものが悪いわけではない。問題は、利用者が「見たくない」と思っても簡単には抜け出せず、本来やりたかった操作まで邪魔されてしまうことにある。
天気を見る。写真を撮る。数秒で済むはずのことが、広告との格闘になってしまう。
便利にするためのスマホなのに、使う人が「もう勘弁して」と言いたくなる。
「欲しいのは新しいアプリではない。ただ、広告を閉じさせてほしいだけ」
そんな切実ともいえる不満が、中国のSNSで噴き出している。
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