外国人のさらなる受け入れに「反対」56.3% 若年層で最高 社会への閉塞感と相関=東京大学社会科学研究所

2026/08/08
更新: 2026/08/08

東京大学社会科学研究所が発表した「外国人の受け入れに対する意識はどう変化しているのか?」で、外国人のさらなる受け入れに反対する人の割合が2026年に56.3%となり、過半数に達した。

2024年の35.6%から約21ポイント上昇しており、わずか2年間で受け入れに対する世論が急速に厳しさを増したことが明らかになった。

政府が深刻な労働力不足を背景に外国人材のさらなる受け入れ拡大を進める一方、国民意識との隔たりが広がっている。調査は、外国人受け入れへの反対が、日本社会の将来に対する希望や暮らしの改善実感との関係をも示唆している。

賛成は一桁、中立層も減少

調査によると、2024年には外国人のさらなる受け入れに「賛成」と回答した人が17.8%、「中立」が37.5%、「反対」が35.6%、「わからない・無回答」が9.1%であった。

2026年には賛成が9.4%に低下した一方、反対は56.3%へ上昇した。中立も29.5%に減り、わからない・無回答は4.7%となった。

反対の増加だけでなく、態度を明確にしていなかった層が縮小したことが特徴である。中立は2年間で8ポイント減少し、わからない・無回答もほぼ半減した。これまで態度を保留していた層の一部が、明確な反対へ移った可能性がうかがえる。

2008年の調査開始以降、外国人受け入れを巡る意識は緩やかに変化してきたが、2024年から2026年にかけての動きは、過去の推移とは異なる急激な変化となった。反対が過半数を占めたことで、今後の受け入れ政策を巡る合意形成は一段と難しくなるとみられる。

男女とも反対増、若年層は63.4%

反対意識は性別を問わず広がっている。2024年の反対率は男性が38.0%、女性が34.2%だったが、2026年には男性が55.9%、女性が56.8%となった。女性の反対率は男性を上回り、男女差はほぼなくなった。

世代別では、1987~98年生まれの若年層で反対が最も多かった。この世代の反対率は2024年の39.1%から、2026年には63.4%へ上昇し、図表で比較された世代の中で最高となった。

1966~76年生まれの反対率は54.0%であり、若年層はこれを約10ポイント上回った。若い世代は一般にグローバルな価値観に開放的だとみられてきたが、今回の調査では異なる傾向が示された。

社会への希望と受け入れ姿勢に相関

調査は、外国人受け入れへの反対が、世代間の暮らしの改善実感だけでなく、日本社会の将来に対する認識とも関係していることを示した。

反対意識は、「日本社会に希望がある」との認識「親世代より暮らしが改善した」との実感「子世代の暮らしが改善する」との見通しの三つの指標と負の相関関係にあった。

このうち、最も顕著だったのは「日本社会全体に対する希望」との関係である。親世代・子世代との暮らしの改善実感以上に、日本社会の未来に希望を持てない層ほど、外国人のさらなる受け入れに反対する傾向が強かった

労働力不足を補い、社会を維持するための手段として位置付けられてきた外国人の受け入れが、閉塞感を抱える人々には、自らの取り分や既存の秩序を脅かすものと受け止められている。

外国人への反発の背景には、外国人を巡る問題だけでなく、日本人自身の幸福感や将来展望の乏しさがあるとみられる。

受け入れ政策、社会の希望再構築が課題

反対が56.3%に達し、若年層でも拒否感が強まったことは、外国人の受け入れが単なる労働政策にとどまらず、日本社会の将来像を巡る問題となっていることを示している。

外国人のさらなる受け入れを巡る議論を前進させるには、制度や受け入れ体制の整備だけでなく、日本人自身が将来に希望を持てる社会構造を再構築する必要がある。次世代の暮らしが改善するとの見通しや、社会が向上しているとの実感が得られなければ、外国人を受け入れる心理的な余裕も生まれにくい。

国民が将来への不安を抱えたまま受け入れ拡大を進めれば、社会の分断や一層の内向化を招く恐れがある。今回の調査結果は、外国人政策を検討するうえで、国内に広がる閉塞感への対応が不可欠であることを浮き彫りにした。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます