中共の「スパイ摘発」宣伝が拡大 日常生活まで「海外勢力」扱いに嘲笑

2026/06/25
更新: 2026/06/25

近年、中国共産党(中共)国家安全部は「スパイ摘発」を大々的に打ち出している。スマホアプリから研究論文、気象データ、希少な動植物、さらには芸能人の追っかけ、就職、留学、「寝そべり」に至るまで、あらゆるものに「海外勢力」のレッテルが貼られている。一般の人が日常的に接する分野まで、国家安全上の問題とされ、ネット上では揶揄の声が上がっている。

2023年3月に陳一新が国家安全部のトップに就任して以降、これまで水面下で活動してきた同部は、一転して表舞台に出るようになった。公式WeChatアカウント「国家安全部」も開設し、頻繁に投稿を行っている。その中で、「海外勢力」の定義は大きく広がっている。

6月23日、中国語ニュースサイト「中国デジタル時代」は、「海外勢力はどこにいるのか 国家安全部公式アカウントの投稿一覧」と題する記事を掲載した。記事は、国家安全部がこの3年間に発信した「海外勢力」に関する投稿を整理し、いわゆる「海外スパイ」の範囲は、少なくとも5つの大分類、30以上の具体的な場面に広がっていると指摘した。

その内容は、スマホのポップアップ広告による情報収集、Bluetoothイヤホンなどのスマート機器による盗聴、展示館などでの写真撮影、コメント欄を利用した情報工作、AirDropなどを使った情報の拡散、VPNなどでネット規制を回避し海外動画を転載する行為、世論操作、AIやディープフェイクなどに及ぶ。さらに、芸能人の追っかけ、婚活、就職、留学なども含まれている。

2026年に入ると、スパイ問題と結びつけられる対象はさらに広がった。太陽光発電や新エネルギー、研究者を取り込む工作、測量や地理情報、「スパイ亀」「スパイ魚」などを利用したとされる海洋データの窃取、希少種の違法採取などが取り上げられた。さらに、少し前に議論を呼んだ「寝そべり」をめぐる洗脳論も含まれている。

記事は、「一般人が一日の中で接するもののうち、安全とされるものは、ほとんど残っていないように見える」と皮肉を言っている。同記事によると、これらの内容をAIに入力し、次のように質問したという。

「もし一人の人間が、すべての『海外勢力』を徹底的に避け、非の打ちどころのない『模範市民』になろうとした場合、その人はどのような姿になるのか」

AIは「この模範市民はスマホを持たない。スマホにはポップアップ広告があり、アプリがあり、Bluetoothがあり、AirDropがあるからだ。写真も撮らない。特に展示館、科学技術館、街角では撮らない。カメラと測量の間には紙一重の差しかなく、地図へのチェックインは共犯行為に直結するからだ」と答えた。

「彼は太陽光発電を研究せず、論文を書かず、新エネルギー、測量、気象、海洋、生物種といった先端分野にも触れない。亀も魚も飼わない。それらが実は『スパイ亀』『スパイ魚』である可能性に備えるためだ。花も育てず、種子も採取しない。生物資源を奪ったと見なされる恐れがあるからだ…」

このような人物が現実に存在するのかと問われると、AIは回答を避けた。ただし、AIはこのように付け加えたという。

「この市民には、AIの使用も勧めない。生成AIもまた、国家安全部が『海外勢力に利用される可能性があるもの』の一覧に加えているからだ」

ネットユーザーからは、「まったくの笑い話だ。この範囲で言えば、中国人全員が『スパイ』になってしまう。誰も逃れられない」といったコメントが寄せられている。

これまでの分析では、国家安全部が従来の水面下での活動から突然表舞台に出て、経済、金融、科学研究などの分野に積極的に介入するようになった背景には、国家安全部の幹部が中共当局に成果を示し、公安部と権限や予算を争う意図がある可能性が指摘されている。

しかし、国家安全部が持ち出す事例はあまりにも荒唐無稽であるため、投稿のたびにネット上で嘲笑を浴びることが少なくない。