欧州人権裁判所 セルビア政府による法輪功への人権侵害を認定 国際弁護士「重大な意義」

2026/06/21
更新: 2026/06/21

欧州人権裁判所は2026年6月2日、中国共産党(中共)党首・習近平の2016年訪問時に法輪功学習者の抗議活動を禁止したセルビア政府の措置が欧州人権条約に違反し、法輪功学習者の正当な権利を侵害したとする裁定を下した。

国際的に著名な人権弁護士であるデイビッド・マタス氏は大紀元の取材に対し、今回の裁定は世界的に「重大な意義」を持つと述べ、いかなる国も法輪功学習者が中共による迫害に抗議する権利を妨げてはならないと語った。

ワシントンD.C.に拠点を置くシンクタンク「アメリカ・ファースト政策研究所」(AFPI)で中国政策問題を担当する上級ディレクターのピエロ・トッツィ氏も大紀元に対し、今回の裁定は市民の核心的権利を擁護するものであり、歓迎すべきだと述べた。

2016年6月17日から18日にかけて、習近平はセルビアを訪問した。当時セルビア政府は公共の安全維持を理由に、訪問期間中の法輪功学習者による抗議活動を禁止する命令を出しており、その理由として「対抗デモを誘発し衝突を招く可能性がある」ことを挙げていた。

欧州人権裁判所は裁定の中で、デモが公共秩序を害する可能性があるとするセルビア当局の主張は十分な証拠に裏付けられておらず、単なる推測的判断に過ぎないと指摘し、セルビアが集会・結社の自由を保障する欧州人権条約第11条に違反したと認定した。

2019年2月7日、フランス東部の都市ストラスブールに位置する欧州人権裁判所の内部 (Photo credit should read FREDERICK FLORIN/AFP via Getty Images)

「セルビア・中国友好協会」の代表であるデヤン・マルコビッチ氏は明慧ネットの取材に対し、今後、中共による法輪功迫害の真相を明らかにする活動を行う際に妨害を受けないことを望むと述べ、これはすべての欧州市民が享有する基本的権利であると語った。同協会はセルビアの法輪功学習者によって設立された団体であり、2016年6月の習近平訪問時に抗議活動を申請した当事者でもある。

大紀元記者は今回の裁定についてセルビア外交部にコメントを求めたが、本稿執筆時点で回答は得られていない。

国際弁護士デーヴィッド・マタス氏 判決は重大な意義を持つ

国際弁護士デーヴィッド・マタス氏は大紀元に対し、今回の裁定は「法輪功団体が中国国内で受けている迫害に抗議したいのであれば、抗議させればよい」という明確なメッセージを発するものだと述べ「いかなる国も、法輪功学習者が中国共産党による法輪功迫害に抗議する権利を阻止または妨害すべきではない」と語った。

「この判決自体が重要な意義を持つのは、重要な背景の下で平和的集会の権利を強調しているからだ。この背景は個別の現象ではなく、世界的なものである」とも述べた。

「法輪功団体は世界各地に広がっており、抗議が可能な場所で抗議活動を行っている。中共側の代表者はこうした抗議活動を阻止しようと試みている。実際、これは彼ら(中共)の海外における主要な活動の一つである」と指摘した。

マタス氏は、法輪功学習者による平和的抗議は世界人権宣言によって保護されていると述べた。

さらに、セルビアが事前に安全評価を実施していたならば、その結果は法輪功学習者の抗議活動が公共秩序への脅威に当たらないことを示していたはずだと、確信を持って語った。

「法輪功団体は平和的である。彼らがいかなる時、いかなる場所においても秩序を乱す行為をしたという記録は一切存在しない」と述べた。

マタス氏は、法輪功学習者が中共による迫害に抗議することを許可しないことは、平和的集会の権利の侵害に当たると述べ、平和的集会は世界人権宣言が定める「広く認められた権利」であるとした。

世界人権宣言第20条は「すべて人は、平和的集会及び結社の自由に対する権利を有する」と規定している。

「こうした抗議活動、および中国共産党に対する抗議活動に直面するすべての国は、この裁判所の判決を重視すべきである」と語った。

2026年6月4日の夜、ワシントンD.C.にある共産主義犠牲者追悼基金(VOC)は、6月4日事件を追悼するキャンドルライト集会を開催した。写真は、ピエロ・トッツィ氏が演説している様子(大紀元)

今回の判決についてトッツィ氏は大紀元に対し、「(欧州人権)裁判所の裁定は、市民の核心的権利および政治的権利を擁護するものであり、歓迎すべきことだ」と述べた。

また、「セルビア政府がこの裁定を遵守するかどうかは、今後の動向を見守る必要がある。より深い問題は、セルビアと中国共産党およびロシアとの間で続く緊密な関係にある」と語った。

セルビアは中国共産党による法輪功迫害を批判・排斥すべき

マタス氏は、セルビア政府に対し、中国共産党による法輪功への国内弾圧および国境を越えた弾圧を排斥するよう提言した。

「セルビア政府は、いかなる問題についても中国を批判または非難しないという自国の政策を見直すべきだ」と述べた。

セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は2023年の訪中時、セルビアが「中国を批判または非難するいかなる声明にも一度も加わったことのない、欧州で唯一の国」であることを誇りに思うと述べていた。

2014年以降、セルビアの法輪大法学習者が法に基づき集会を申請したにもかかわらず禁止された事例は、20件を超えている。例えば以下の通りである。

2014年、当時の中共首相であった李克強のセルビア訪問時には、すべての集会が禁止された。欧州連合(EU)加盟複数国出身の法輪功学習者8人が不法に拘束され、EU機関の緊急対応を受けて釈放された。

2024年、習近平のセルビア訪問時には、現地の法輪功学習者および支持者7人が再び拘束された。理由は今回も「安全上の脅威」とされたが、当局はやはり何ら証拠を示さなかった。

マタス氏は、「中共による法輪功学習者への弾圧は、批判されるべきものである」と述べた。

「セルビア政府はこうした弾圧を批判し、関係責任者に制裁を科すとともに、セルビア駐在の中共関係者の中で法輪功団体への国境を越えた弾圧に関与した者を『ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)』に指定すべきだ」と述べた。

中国共産党は自らの足に石を落とす

マタス氏は、「中国共産党は法輪功を、自らに対する最も顕著な反対勢力であり、重大な脅威であり、海外工作における最優先課題と見なしている」と述べた。

中共党首の習近平は、2022年10月に流出した中央政法委員会への講話の中で、中国国外の法輪功学習者が中共にとって最も顕著な反対勢力に発展したと述べていた。

中共の元駐シドニー総領事館政治領事である陳用林氏はかつて、法輪功問題は同総領事館の業務における最重要課題であり、日常的かつ長期的な業務であると述べたことがある。オーストラリアにおける「反法輪功工作」のパターンは米国においても同様であり、いずれも中共の法輪功迫害を統括する「610弁公室」系統が管轄しているという。

マタス氏はこれに対し、「法輪功学習者団体は、中共にとって最も顕著な反対勢力ではない」と述べた。

「中共にとって最も顕著な反対勢力は、中共自身である」

「中共は絶えず自らの足に石を落とし、それでいて歩けないと不満を漏らしている」と語った。

張毅