イラン合意は機能し得る 違反のたびに打撃を加えるなら

2026/06/18
更新: 2026/06/18

これは、6月15日に配信されたポッドキャスト「Victor Davis Hanson: In His Own Words」の一部を編集した書き起こしである。

イラン戦争の最新局面をめぐっては、多くの混乱、論争、意見の相違がある。思い出してほしい。われわれは38~40日間にわたり、実際に軍事攻撃を行った。その後、60日間の交渉があった。そして6月中旬の今、ドナルド・トランプ大統領はまたしても、和平合意が近く成立し、その合意の全要素を実行に移すために60日間の期間を設けると発表した。

多くの人が怒っている。イランは追い詰められ、破綻寸前だった。あのまま続けていれば、あるいは今からでも続ければ、イランを機能不全に追い込み、無条件降伏を突きつけることができたはずだと感じている。

それはまったくその通りだ。ただし、この合意の成否は次の点にかかっている。というのも、イランが約束を守ったり、明示的であれ黙示的であれ、何らかの合意に従ったりした歴史はないからである。つまり、アメリカがこの地域に空母打撃群を一つ程度残し、ホルムズ海峡を開いたままにし、同盟国に向けたミサイル発射を防ぎ、そしてもちろん、濃縮ウランを引き渡す意思があるかどうかにかかっている。

われわれがそれを行う意思を持ち、イランが合意を破るたびに強く攻撃するのであれば、この合意は最終的には機能するかもしれない。

ただし、この合意と戦争全体については、多くの誤解がある。ここでは、そのうちいくつかを取り上げたい。この政権の批判者の多く、たとえば下院少数党院内総務のハキーム・ジェフリーズ氏も含まれると思うが、少し前にこのように言った。「海峡は開いていた。だが今は閉じている。だからこの合意は何も達成していない。実際には状況を悪化させた」と。

しかし、海峡が開いていたのは、イランにそれを閉鎖する理由がなかったからである。そして、イランに閉鎖する理由がなかったのは、過去7人の米大統領、ジミー・カーター、ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュ、ビル・クリントン、バラク・オバマ、ジョー・バイデンが、イランの武装解除を望まなかったからだ。

彼らはイランに踏み込み、イランの核拡散計画を止めようとはしなかった。トランプ氏はそれを行った。それを行う者は誰であれ、ホルムズ海峡を閉鎖しようとするイランの必死の試みに直面することになったはずである。われわれはこれから海峡を開く。だが、われわれが事態を悪化させたという考えはばかげている。

二つ目に、人々はこう言っている。「これはオバマ政権の合意と同じではないか。なぜトランプ氏はオバマ政権の合意から離脱したのか」と。

しかし、イランはオバマ政権時代の合意の間もずっとウラン濃縮を続けていた。われわれはそれを知っている。イランは査察官の立ち入りを認めなかった。バイデン政権時代、バイデン氏はイランに核合意へ戻るよう懇願した。だがイランはそれを望まなかった。

なぜだろうか。イランがすでにかなりの程度まで濃縮を進めていたことが分かっているからである。濃縮度が60%以上に達し、今となっては、望めば1か月で核爆弾を製造できる段階にあった。

だが、ここに大きな違いがある。2015~16年にかけてのオバマ政権時代の合意をめぐる空気の中では、イランは勢いを増していた。誰もがイランを恐れていた。イラン軍は中国製やロシア製の兵器で重装備していた。人々はイランを恐れていたが、イスラエルはイランを攻撃したがらなかった。湾岸諸国も攻撃したがらなかった。

ヨーロッパは慎重さを求めていた。それは宥和的な合意だった。なぜなら、誰も武力を使いたがらなかったからだ。今、われわれは地上部隊を置いていない。現地に記者も置いていない。だが、現在の戦争についてどのような意見の違いがあろうとも、多くの人は、40日間にわたる激しい爆撃によって、イラン軍とイラン経済が壊滅的打撃を受けたことには同意している。おそらく一時に1千機の航空機が上空にあった。

つまり、われわれが相手にしているのは、はるかに弱体化したイランである。われわれは何度でも攻撃できる。イランには防空能力がないからである。オバマ氏が相手にしていたのは勢いを増すイランであり、彼はイランに合意を守らせるために武力を使うことに言及することさえ恐れていた。

三つ目の誤解がある。人々は「今やわれわれは孤立している。完全に孤立している。同盟国はない。中国とロシアが勢いを増している」と言っている。これほど真実から遠いものはない。

われわれの生涯で初めて、湾岸協力会議の諸国は、長年にわたり二枚舌を使ってきたにもかかわらず、基本的にはイランよりもイスラエルとの同盟に近づいている。それは明文化されていない同盟かもしれない。

湾岸地域に配備した600機の戦闘機の一部が、密かに任務飛行を行っていたことは、今では分かっているが、つまりそれはイスラエルとともに行動していたということだ。

イスラエルの技術者が湾岸地域に入り、ミサイル防衛を支援していることも分かっている。湾岸諸国と大半の穏健なアラブ諸国は、実存的脅威はイスラエルではなくイランだと考えている。

言い換えれば、アメリカと湾岸諸国の関係はかつてないほど近くなっている。イスラエルにとっても同じである。

ロシアと中国について言えば、両国は中東から締め出されている。彼らはシリアの顧客を失った。イランの顧客も失っており、今後も失うことになる。ベネズエラの顧客も失った。彼らは非常に大きな問題を抱えている。ロシアはもはやイランに兵器を売ることができない。一部を密輸することはあるかもしれない。そして中国は、もはや割安な石油を手に入れることができない。

もう一つ誤解がある。いわゆる「離反した右派」、つまりタッカー・カールソン氏やキャンディス・オーウェンズ氏らの右派は、この問題が共和党を分裂させ、自分たちの影響力によって「アメリカを再び偉大にする」運動をトランプ氏に反発させるかもしれないと言っている。

まず第一に、イラン戦争を除けば、他のすべての問題について、保守派の大半、あるいはほぼ全員がトランプ氏に同意している。カールソン氏でさえ、トランプ氏の犯罪対策、国境政策、壁の建設、国外退去政策、行き過ぎたクリーンエネルギー政策の反対には同意するだろう。

だが、この戦争の問題についても、「アメリカを再び偉大にする」運動と共和党は、今なお圧倒的に、75%がトランプ氏を支持している。

その理由は、彼らがこれを、離反した右派が言うような永遠に終わらない戦争だとは感じていないからである。彼らは、われわれは地上部隊を使っておらず、38~40日間にわたる軍事作戦の期間中に失った兵士の数も、同じ期間に軍が日々被る事故率を下回っていると考えている。

最後に、誰もが「中間選挙はもう失った」と言っている。

中間選挙まではまだ4か月半ある。ホルムズ海峡が開けば、突然、二つのものによる交通渋滞が起きることになる。一つは、石油を満載して出ていこうとするタンカーであり、もう一つは、入ろうとして待っているタンカーである。

だが、そこには100~200万バレルを積んだタンカーが、200隻あるいは250隻いるかもしれない。その時、アメリカ、ロシア、中東、ベネズエラは生産を増している。

したがって、価格は大きく下がる可能性がある。

そして合意が成立すれば、左派はやや困惑することになるだろう。彼らは、われわれは戦争に敗れ、目的を達成できなかったと言っていたからだ。だが、合意が成立し、その合意がアメリカの軍事行動によって履行するのであれば、それはトランプ氏にとって打撃にはならない。むしろ助けになるだろう。

さらに、選挙区再編というより大きな文脈もある。この選挙区再編をめぐる争いでは、今のところ共和党が多数派を占める州議会が、民主党が多数派を占める州議会を上回ることになりそうであり、共和党は3議席、4議席、あるいは5議席を獲得する。

また、連邦最高裁は、人種に基づいて連邦下院の選挙区を作ることは、人種への執着であり、固定観念であり、認められないと述べた。この判断により、共和党にさらに4~5議席がもたらされる可能性がある。

私は、トランプ氏が歴史的な先例を覆せると言っているわけではない。過去40人の大統領のうち、95%が最初の中間選挙で敗北したことを思い出してほしい。したがって、歴史はトランプ氏に不利である。だが、彼が上院を失うことはない。そして正直に言えば、共和党が下院を失っても、それは実際のところ大きな問題ではない。

法案を通すには下院を持っているほうが望ましい。しかし、彼の法案の大半はすでに通っている。彼は今後も大統領令を使うことができる。だが最も重要なのは、彼らにはできないということだ。彼らは政治的パフォーマンスとして彼を弾劾するかもしれない。しかし、上院が有罪とすることは決してない。

本記事は、ヘリテージ財団の出版物「The Daily Signal」の許可を得て転載した。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
ビクター・デイヴィス・ハンソン(Victor Davis Hanson)は、古典学者および軍事史家です。カリフォルニア州立大学の古典学名誉教授であり、スタンフォード大学の古典学・軍事史シニアフェロー、ヒルズデール・カレッジのフェロー、そしてセンター・フォー・アメリカン・グレートネス(Center for American Greatness)のディスティングイッシュト・フェロー(特別客員研究員)を務めています。 ハンソン氏はこれまでに、『The Western Way of War(西洋の戦争のやり方)』、『Fields Without Dreams(夢なき耕地)』、『The Case for Trump(トランプを支持する理由)』、『The Dying Citizen(死にゆく市民)』を含む17冊の著書を執筆しています。