台湾の最大野党・国民党の鄭麗文主席が最近、米ニューヨークを訪問した際、中国出身の華人らが鄭氏の対中姿勢に疑問を呈する場面が相次いだ。今月7日夜、ニューヨーク市フラッシングで開かれた歓迎晩餐会では、会場外で風刺漫画の投影による抗議活動が行われたほか、翌8日に鄭氏が米非営利団体「アジア・ソサエティ」で公開対談に出席した際には、中国出身の参加者が「共産党を受け入れるなら、台湾は香港になる」と書かれたTシャツを披露し、「これは鄭氏に贈る言葉だ」と訴えた。
7日夜にフラッシングで開かれた歓迎晩餐会には、ニューヨーク中国和平統一促進会の焦聖安会長や福建同郷会の陳恒均会長らが出席した。また、スーツの襟に中国の国章バッジを付けた人物が鄭氏と握手し、記念撮影を行う様子も確認され、注目を集めた。


一方、宴会会場の向かい側にある建物の外壁には、大型プロジェクターによる抗議映像が映し出された。映像は政治風刺漫画で、鄭氏が台湾を描いた巻物を頭上高く掲げ、それを中共の党章である鎌と槌のマークが付いた袖を持つ巨大な手に差し出している構図となっていた。
映像下部には「光復之路運動」の文字が表示され、この団体が投影活動を実施したことが示された。同団体は、民主と自由を掲げる中国人権団体「中国行動」が展開する抗議活動の一つとされる。
中台問題を長年取り上げてきたインフルエンサーの八炯さんは、この出来事について、「当夜、中国出身者が鄭氏の『媚中』を風刺する映像を投影したが、一部の参加者は内容を支持表明と誤解し、記念撮影をする人ま台湾は香港になる」
翌8日夜、鄭氏がアジア・ソサエティで公開対談に出席した際にも、同氏の対中姿勢を批判する場面が見られた。
質問に立った中国出身を名乗る若者のサムさんは、まず上着を脱ぎ、「共産党を受け入れるならば、台湾は香港になる(擁抱共産党、台湾変香港)」と書かれたTシャツを披露した。

サムさんは、鄭氏が4月の訪中時に「ドローンはミサイルを運ぶのではなく、タピオカミルクティーを届けるためのものであるべきだ」と発言したことに触れ、「あなたが中国を離れた後、習近平はトランプ氏に『我々が台湾へ侵攻した場合、米国政府はどのような行動を取るのか』と尋ねた。改めてこの問題について説明してほしい」と質問した。
さらに、「もう一つ聞きたい。なぜ習近平は常に台湾統一、すなわち台湾への武力行使について語るのか」と問い掛けた。
鄭氏の回答を待たず、サムさんは発言を続け、「私は中国出身なのでよく分かる。中国は独裁社会であり、習近平は独裁者だからだ」と述べた。この際、会場の一部からはブーイングが上がった。
サムさんはさらに、「習近平が台湾を併合しようとする理由は、台湾が民主社会だからだ。独裁社会は民主社会の存在を許容できない」と訴えた。
その後、警備員が近づき退場を求めたが、サムさんは退出する直前に振り返り、Tシャツ背面に書かれた「共産党を受け入れるならば、台湾は香港になる」の文字を指差しながら、鄭氏に向けて英語で3度、「For you(あなたへの言葉だ)」と語り掛けた。
最後に英語で、「Embrace Chinese Communist Party, Taiwan will become Hong Kong next(中国共産党を受け入れれば、次は台湾が香港になる)」と述べて会場を後にした。
台湾メディア人「平和の代償を語るべきだ」
インターネット上では、鄭氏について「中国共産党に対する警戒心や備えが欠けている」との批判が少なくない。
鄭氏の今回の訪米について、台湾のベテランメディア人である黄暐瀚氏は公開コメントを発表し、「台湾の自由と民主主義は放棄できない価値であり、台湾にとって最も貴重で重要なのは、自ら選択できることである」と指摘した。
その上で、「鄭麗文氏が平和を語ることは理解できる。しかし、平和の背後にどのような代償が伴うのかについては語られていない」と述べ、対中政策をめぐる議論では平和維持のコストやリスクについても説明が必要との認識を示した。
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