富山の古刹で夜間に火災で本堂は全焼 相次ぐ文化遺産焼失

2026/05/18
更新: 2026/05/18

富山県高岡市利屋町の日蓮宗大法寺で16日夕方火災が発生し、木造の本堂などが激しく燃えた。火は約8時間40分後の17日午前3時28分に鎮火したが、本堂は全焼したとみられる。さらに西へ約70メートル離れた通町御車山交流館と空き家1棟にも延焼し、ポンプ車18台が出動して消火活動に当たった。寺には2世帯4人が居住していたが、全員の無事が確認された。複数のメディアが報じた。

大法寺は1453(享徳2)年開山の古刹であり、安土桃山時代の絵師・長谷川等伯(信春)筆による国指定重要文化財4点を所有することで知られる。高岡市教育委員会によれば、これらを含む等伯作の仏画10点はすべて市美術館に寄託されており、無事に保管されているという。

現場は高岡駅から北西約1キロの市街地で、重要伝統的建造物群保存地区「山町筋」に近接する寺院・民家密集地帯である。消防当局は出火原因と延焼経路の調査を進めている。

相次ぐ歴史的建造物の焼失

2026年に入り、国内では歴史的木造建築の火災が相次いでいる。5月6日には新潟市中央区の古町愛宕神社で火災が発生し、1700年代前半建立の新潟市有形文化財である本殿と拝殿が原形をとどめないほど焼損した。

一方、総務省消防庁の統計によれば、神社・寺院火災件数は2022年67件、2023年59件、2024年58件と件数自体は減少しているものの、焼失した建造物の歴史的価値は極めて高くなっている。

火災原因「不明」 首里城火災

近年最大規模の文化財火災は、2019年10月31日未明に発生した首里城火災である。正殿、北殿、南殿を含む主要7棟が全焼し、約11時間にわたり燃え続けた。首里城の焼失は歴史上5度目であった。

那覇市消防局は2021年3月、火災原因を「不明」としつつも、正殿1階で通電していた延長コードと接続先のLED照明器具に何らかの電気的異常が発生した可能性を指摘した。損害額は建物と収容物を合わせ約53億円に上った。

 

改修工事中に発生したフランスの魂 ノートルダム大聖堂火災

海外では、2019年4月15日にフランス・パリのノートルダム大聖堂が火災に見舞われた。19世紀に再建された尖塔と13世紀の木造屋根構造「ラ・フォレ」の大半が失われた。

パリ検察当局は、不始末たばこまたは電気系統不具合の可能性が高いとの暫定見解を示し、犯罪性を否定した。UNESCO世界遺産センターによれば、大聖堂は2024年12月に再開された。

世界遺産も焼失 韓国孤雲寺の山火事

2025年3月、韓国南東部・慶尚北道で発生した同時多発的に山火事が発生。死者30人、焼失面積約4万8000ヘクタールに達した。この火災で7世紀建立の孤雲寺では30棟中21棟が焼失し、国宝にも被害が及んだ。さらに安東河回村や屛山書院などUNESCO世界遺産も延焼の危機にさらされた。

警察は墓参り中の男性による失火を出火原因と推定しているが、被害拡大の背景には強風と乾燥という異常気象条件があった。

UNESCOが警鐘 火災被害は20年前の2倍超

UNESCO世界遺産センターは2025年、世界遺産サイトにおける火災由来の樹木被覆消失が2020年以降、年平均約24万ヘクタールに達し、2000年代初頭の2倍以上となったと公表した。

UNESCO文化局のエルネスト・オットーネR.事務局長補は「火災は人類遺産に不可逆的な損害をもたらす」と警告し、加盟国に統合的火災リスク管理体制の整備を求めている。

日本の防火対策強化

文化庁は2019年、ノートルダム大聖堂と首里城の火災を受け、「世界遺産・国宝等における防火対策5か年計画」と「国宝・重要文化財等の防火対策ガイドライン」を策定している。

同ガイドラインは、文化財ごとの特性に応じた火災リスク評価や点検手順、防火設備整備の具体策を示している。