中国の海外留学 ピークから2割減 帰国者数は増加続く

2026/04/28
更新: 2026/04/28

かつて中国人から「金メッキの道」と見なされていた海外留学に、いま変化が生じている。最新データによれば、中国の海外留学生数はピーク時から約2割減少する一方で、帰国者数は増加を続けている。専門家は、この傾向の背景には国際的な政策環境、就職市場、投資対効果など複数の要因があると指摘している。

中国教育部の留学サービスセンターの最新統計によると、昨年の中国人海外留学者数は57万人を超え、2019年の70万人超という過去最高水準から約20%減少し、全体規模は2016年前後の水準にまで縮小した。

一方で、留学生の帰国者数は増加傾向にある。中国教育部の統計では、帰国者数は2023年に約42万人、2024年に約50万人、2025年には約54万人へと年々増加している。

専門家は、ポストコロナ以降、世界の留学環境が変化し、多くの国が移民や就労政策を引き締めていることに加え、中国経済の減速により、保護者が子どもの留学について「費用対効果」を再評価するようになったことが、海外留学者数減少の背景にあると分析する。

米セントトーマス大学国際研究の客員教授である葉耀元氏は、「特に米欧では、これまで大量に中国人留学生を受け入れてきた流れに対し、より厳格な審査モデルを導入している。そのため現段階では、米欧への留学の可能性は徐々に低下しており、ビザの発給も通りにくくなっている」と指摘している。

近年では、一部の中国人学生が日本や韓国などアジア諸国へ留学先を転換しているが、これらの国々も中国人留学生に対する審査制度を見直しつつあり、受け入れ環境全体はより慎重な傾向にある。

葉氏はさらに、「供給側から見ると、中国人留学生はまず海外に出る意欲自体が以前ほど高くない。さらに、仮に留学を希望しても、受け入れ側の国が中国人留学生の比率を下げているため、結果的に留学者数の減少につながっている」と分析している。

また、中国人留学生の帰国増加は、海外の雇用環境の厳格化とも密接に関係している。専門家によれば、多くの国では自国民の雇用を優先する傾向が強まり、外国人留学生が現地で就職する難易度は明確に上昇している。

葉氏は「例えば米国では、滞在資格を維持できなければ不利な状況に置かれる。現在のトランプ政権下では特にその傾向が強く、こうした環境が中国人留学生の帰国増加につながっている」と述べている。

中国教育部の長期統計によれば、1978年から2025年までに中国から海外に留学した人は累計946万人に達し、そのうち801万人が学業を修了し、87%以上が帰国して発展の道を選んでいる。

米サウスカロライナ大学エイケン・ビジネススクール教授の謝田氏は、「数百万という数字の多くは訪問学者であり、複数回の訪問者も含まれている可能性がある。したがって実際の留学生の帰国数はそれほど多くない。中国の年間1100万人の大学卒業生と比較すれば、彼らは依然少数派である」と述べる。

専門家はまた、米欧で近年、中国人留学生、特にハイテクや機密分野の人材に対する制限を強化していることから、今後も海外留学者数はさらに減少する可能性があると分析している。

謝田氏は、「全体として世界は徐々に中国に対して門戸を閉ざしつつある。中共当局は留学生を通じて先端技術を学び持ち帰る、あるいは取得することを期待してきたが、その道も徐々に封じられつつある」と語り、「米国のハイテク産業でも人員削減が進み、AIの導入で多くの職が代替され、仕事を得られず帰国する人もいる一方、残れる人は帰国しない」と述べている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、近年の米国における移民要件の引き上げや、中国国内メディアによる米国社会の治安状況の誇張報道などを背景に、中国のエリート層の一部が中国国内を選択する傾向があると報じている。

専門家はさらに、中国経済の悪化、失業率の上昇、高度技術産業の発展制約により、高度人材の受け入れ能力が限られているため、帰国した「海外帰国人材(海帰)」は「高学歴・低就職」という困難に直面する可能性があると指摘する。

葉氏は、「第一に、中国国内の労働市場には彼らの能力に見合うポジションが不足しており、『高学歴低就職』が起きている。第二に、中国企業の文化は日米欧と異なり、関係性を重視する社会構造であるため、帰国者が環境に適応できず、産業の競争力向上に十分貢献できない場合もある」と述べる。

近年では、中国の一部国有企業や公務員の採用において、海外帰国者を排除する動きも見られ、名門大学出身者であっても、海外で多額の学費をかけたにもかかわらず、帰国後に就職難に直面するケースが出ている。

新唐人