アメリカとイスラエルがイランの指導部を標的にした軍事攻撃を行ったことをめぐり、中国のテレビ番組に出演した軍事専門家の発言が、中国のSNSで波紋を広げている。
中国国営中央テレビの番組で、軍事専門家の蘇暁輝氏は今回の攻撃について「武の道を守らないやり方で、最高指導者を直接狙った」と批判し、「イランはもはや退く余地がない」と語った。
しかしこの発言が放送されると、中国のネット上ではすぐに疑問の声が上がった。
「指導者を狙うのが卑怯なら、では誰を狙えばいいのか。一般市民か」
「市民を避けて指導部を狙う方が、むしろまともではないか」
「不思議な論理だ」
コメント欄にはこうした批判やツッコミが相次いだ。
中には、中国の古い兵法を持ち出す声もあった。「擒賊擒王( きんぞくきんおう・敵を制したければ、そのリーダーを先に叩け )、孫子の兵法にも通じる考え方だ。それがなぜ卑怯になるのか」といった指摘も相次いだ。
一方で、「これは知識の問題ではなく、生き残りの問題だ」との声も広がっている。

中国では、専門家がテレビで語る言葉は必ずしも本音とは限らない。政治的な発言を誤れば、呼び出しを受けたり、場合によっては職を失うと指摘する。
そもそもアメリカがイランを攻撃する前、中国の官製メディアでは「アメリカはイランを攻撃する度胸はない」とする専門家の解説を繰り返し流していた。ところがアメリカとイスラエルが実際に攻撃に踏み切ると論調は一変。中国のメディアには「軍事専門家」や「中東研究者」が次々登場し、今度は一斉にイランのハメネイ体制を擁護し、アメリカを批判する発言を繰り返した。
だが、こうした世論誘導に対し、中国のネットユーザーからは冷ややかな反応が相次いだ。コメント欄には批判やツッコミが相次ぎ、専門家の発言は嘲笑の対象になった。
こうした事情もあって、華人圏のショート動画では「専門家がこう言った」という言い回し自体が定番のネタになっている。「専門家が言っているなら、むしろ当てにならない」という皮肉である。
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