張又侠の政治的評価を迅速に確定 北京の秘密施設に拘束

2026/01/27
更新: 2026/01/27

中国共産党中央軍事委員会(中央軍委)の上層部で、最近、激しい動きが相次いでいる。軍の最高権力構造に関わる体系的な粛清が、加速して進められているとみられる。北京の情報筋によると、中央軍委副主席の張又侠と、中央軍委委員の劉振立が秘密裏に身柄を拘束され、現在はいずれも北京市昌平区にある厳重警備の施設に収容され、完全に外部と遮断された状態にあるという。

複数の消息筋によれば、当局が張と劉に対して行った初期段階での政治的評価は、一般的な規律違反や法令違反ではなく、「中央軍委を分裂させる疑い」とされている。この評価は、軍委主席責任制や最高指揮権の所在という核心部分に直接関わるものであり、現在の軍内の政治的文脈においては、案件が最高政治レベルで扱われていることを意味するとされる。

「党を分裂させる」「中央を分裂させる」といった政治的評価は、中国共産党(中共)党内でも少数にしか用いられない、極めて高位に位置づけられる政治的評価である。通常は最高権力構造に対して実質的な脅威を与えたと認定された中枢的な人物を特定する場合にのみ適用されるもので、公的文書で直接表現されることはほとんどない。一方で、内部処分においては決定的な効力を持ち、その政治的意味は、後の処理の過程から推測されることが多い。1989年以降の趙紫陽元首相に対する党内処分は、その典型例とされている。

当局の政治的評価に軍内部緊張走る

関係者によると、複数の中堅・高級将校が突如として休暇の中断を命じられ、予定されていた出張や移動も中止され、「現地待機」を指示された。同時に、指揮系統や宣伝、政治的発言や意思表明を管理する体制も一斉に引き締められ、全体として極度に緊張した雰囲気が広がっている。

消息筋によれば、現在、中国各地の戦区や各軍種の内部では、「中央軍委」の関連文書とされる内容が集中的に伝達されている。その実質は、1月24日に軍機関紙「解放軍報」が掲載した社説「軍の反腐敗闘争における難関戦・持久戦・総力戦を断固として勝ち抜く」の拡張版にあたり、全軍の将兵に対し、政治的立場と行動の両面で「中央軍委と高度に一致する」ことを求め、いかなる逸脱も許さない姿勢を明確にしているという。

軍関係者の一人は、軍委機関紙の社説によって先に政治的評価を打ち出し、事件が公にされる初期段階から政治的な統一見解を強制する手法は、近年の軍内粛清の中でも異例だと指摘する。こうした点から、張又侠と劉振立の案件については、中共の最高意思決定層がすでに政治的性格を直接定めており、その後の調査や処理は、すでに定められた政治的結論に沿って進められる執行段階に近いとの見方が出ている。

軍に近い評論家は、公式表現に見られる強い断定的表現、処理の速さ、そして同時進行で進められる世論管理のあり方から判断すると、張又侠の案件の焦点は、経済問題そのものではなく、軍権構造の再編と序列の再設定にあると指摘する。機関紙による事前の定調、極めて政治色の強い通達表現、内部文書の迅速な下達は、「先に政治的評価を確定し、その後に処置を行う」という典型的な手順を形成しており、軍内部における議論の余地を早期に封じる狙いがあるとみられている。

引退した元高官の一人は、張又侠の問題の本質は、張が軍内で持つ影響力そのものにあると分析する。張は中越戦争に参加した経歴を持ち、長年にわたり軍内で人脈を築いてきた。その影響力は制度だけに依存するものではなく、個人的な経歴や歴史的な蓄積に基づく側面が大きく、こうした影響力は、習近平が軍の実権を掌握した後も長く存在してきたとされている。

張又侠と習近平 軍内で激しく対立した

昨年10月、大紀元は複数の軍関係者の話として、中央軍委副主席の張又侠と習近平が、「台湾に対する武力行使の是非」をめぐり、軍内部で激しく対立していたと報じていた。

張又侠は複数回の内部会議で、即時の武力行使に明確に反対し、「台湾の防衛体制はイスラエルに次ぐ水準で、ウクライナを上回る」と指摘したという。さらに、全国人民代表大会と政治協商会議(両会)を前に、アメリカ、日本、オーストラリア、さらにはファイブ・アイズが介入する可能性は極めて高く、戦闘が長期化すれば国内の不安定化を招き、現有の兵力や後方支援体制では長期戦を支えきれないとの見解を示したという。

事情に詳しい関係者は大紀元に対し、張又侠は経済低迷と外交的孤立が続く中で戦端を開くことを避け、情勢の安定を優先すべきだと主張していたと語った。しかし、この立場は習近平によって「軍の士気を揺るがすもの」と受け止められ、その後に続く軍幹部粛清の引き金になったとされている。

軍に長年近い関係者の一人は、習近平が反腐敗の名目で、規律検査部門と装備システムに対し、ロケット軍や装備部門の調査を指示したが、実際の狙いは張又侠の影響力を抑え込むことにあったと指摘する。これを受け、ロケット軍内部では全面的な粛清が行われ、複数の高級将校が調査対象となった。

圧力を受けた張又侠は、人事面で反撃に出て、習近平に近いとされる一部の軍・政治系幹部を審査に回した。その中には、政治工作系統の苗華や、前副主席の何衛東も含まれていたという。情報筋は、この一連の動きを「軍内部における生き残りを懸けた死闘」だったと表現している。張又侠は受け身に回りながらも対抗して、最終的に地位と派閥基盤を維持したとされる。

最近になり、分析関係者の潘さんは大紀元の取材に対し、建軍百年目標が目前に迫り、軍内粛清が重要な局面に入る中で張又侠に手が及んだことは、当局が「不確実要素を排除する」という強いシグナルを発したものだと分析した。その核心は単なる反腐敗ではなく、軍内で最も象徴的な「経歴に裏打ちされた権力者」にメスを入れることで、全軍の中堅・高級幹部に対し、指揮権の帰属をめぐって明確な立場表明を迫る狙いがあるという。

北京および東部戦区の軍関係者の間では、張又侠や劉振立といった要人への処置は偶発的なものではなく、あらかじめ定められた時間軸に沿って進められた政治行動だとの見方が出ている。

軍機関紙の用語が示す粛清のレベル

軍機関紙は24日夜に掲載した社説で、張又侠と劉振立の案件が、単なる軍内の規律問題ではなく、「政治闘争」や「路線問題」の次元にまで意図的に引き上げられた重大な粛清であることを示唆した。中央軍委の機関紙が、この段階で社説という形式を通じて立場を集中的に示したこと自体、強い政治的な定調の意味を持つと受け止められている。

党・政府・軍の運営に詳しい潘は、今回の社説の見出しで、軍の反腐敗闘争が初めて「難関戦、持久戦、総体戦」と並列して位置づけられた点に注目する。これは単なる修辞ではなく、軍内反腐敗がどの段階に入ったかについての明確な判断を示すものだという。

潘さんによれば、「難関戦」は粛清対象の地位の高さを指し、張又侠と劉振立はいずれも、中央軍委副主席、軍委委員兼統合参謀部参謀長として、軍権構造の中枢に位置している。「持久戦」は、今回の粛清が短期的な整理ではなく、既存の権力ネットワークや利権構造に対する体系的な清算であることを意味する。

中でも「総体戦」という表現は特に重要だと潘は指摘する。この言葉は、反腐敗が個別の不正行為の摘発にとどまらず、政治的忠誠心、組織路線、指揮システム、さらには軍委主席責任制を含む全体的な闘争として位置づけられていることを示すものだという。社説で「政治による建軍」「絶対的指導」「執政の基盤」といった強く政治色のある表現が多用されているのも、そのためだと分析している。

長年にわたり制度化した軍内腐敗

軍関係者コミュニティで育った、いわゆる「紅二代」の陳さんは、軍が長年にわたり高度に閉鎖された組織であり、中共の腐敗問題が最も集中している分野の一つだと語った。体制上の特殊性から、公安・検察・裁判所といった司法機関は軍内部の問題に介入できないという。

陳さんによれば、軍は改革開放初期から大規模な密輸活動に関与し、軍用ナンバープレートを付けた車両は長年、地方当局の取り締まりが及ばない存在だった。

「ある意味で、軍が密輸の先鞭をつけたと言える。地方はあえて手を出さなかった」

陳さんによると、ここ10数年にわたり、軍需調達をめぐる汚職は途切れることなく続いてきた。張又侠が昇進する以前から、軍紀委は同氏の腐敗状況を把握していたとし、「必要とされているうちは、腐敗は問題視されない。問題とされるのは不忠である。正確には、不忠と疑われることそのものが最大の問題だ」と語っている。

許嘉