日本政界に衝撃が走った。世論調査で高い支持率を維持している高市早苗首相が、1月23日の通常国会開会当日に衆議院を前倒しで解散し、来月にも総選挙を実施する意向であると報じられた。これを受け、各政党は候補者の擁立を急いでおり、選挙戦に向けた緊張感が一気に高まっている。
高市内閣は昨年発足して以来、タカ派的な外交スタンスと、国防や産業競争力を強調する経済論議を武器に、支持率を伸ばし続けてきた。最新の世論調査では、高市氏の支持率は78.1%という高水準に達している。高市氏は、この高い人気を背景に勝負に打って出、衆参両院でねじれが生じている「ねじれ国会」の打破を狙っていると伝えられている。
このニュースに対し、野党側は「政治的な思惑を優先し国民生活を置き去りにした」「新年度予算案の成立を待つべきだ」と批判を強めている。一方、自民党内では、両院における「過小与党」の苦境を覆す好機として、諸手を挙げて賛成する声が大半を占める。
首相官邸からの正式な発表はまだないものの、このニュースは金融市場に大きな動揺を与えた。特に外国為替市場の反応は激しく、円相場は対ドルで一時158.18円まで急落し、ここ1年での最安値を更新した。
高市氏の今回の動きについて、ベテランジャーナリストの矢板明夫氏はXにて次のように述べている。
「表面上、日本は物価、経済、外交、対中・安全保障政策など、山積する難題を抱えた『多事多難』の時期にある。野党は、この時期の解散は『政治空白』を生むと批判しているが、高市氏の判断は正反対だ。彼女はむしろ、政治空白を解消するために今動くことを選んだのだ」。
矢板氏は、その理由を以下の3点に集約して分析している。
1. 脆弱な政権基盤の解消
第一の理由は、現在の政権基盤が施政において不利に働いている点だ。現在、自民党と日本維新の会を合わせても、過半数の233議席を辛うじて維持しているに過ぎない。この「ギリギリの多数派」状態では政権は極めて不安定になる。議員一人の欠席や造反で、予算案や人事案、重要法案が否決されるリスクが常に付きまとう。
各委員会においても、与党側が主導権を握れず、法案が停滞することも多い。大胆な改革を断行したい首相にとって、個別の議員から揺さぶられかねない現状は耐え難いものだ。そのため、内閣支持率が高い今のうちにカードを切り直し、「安定多数」を勝ち取ることが、高市氏にとって最も合理的な選択と言える。
2. 党内反対勢力の掌握
第二の理由は、自民党内部の反対勢力を統合することにある。高市氏は昨年10月の自民党総裁選において僅差で勝利したため、党内の権力基盤は決して強固ではない。菅義偉氏、岸田文雄氏、石破茂氏の3人の元首相に近い議員たちは、今もなお高市氏とは距離を置いており、多くの重要政策が党内で密かに牽制されている。
今ここで解散総選挙を行えば、これらの議員も選挙戦では「高市氏の政策」を掲げて票を求めざるを得なくなる。再選を果たした後には、もはや公然と首相の路線に抵抗することは難しくなるだろう。これにより、高市氏の実質的なリーダーシップは大幅に強化される。
3. 対中政策への「民意の信任」
第三の理由は、中国との関係だ。高市氏は11月7日、国会で台湾支持の立場を明確に表明したが、これに対して中国は連日のように圧力や抗議、嫌がらせを行っている。日本政府にかかる圧力は小さくない。一部のメディアや野党は発言の撤回を求めているが、このタイミングでの解散は、事実上の「対中政策の是非を国民に問う」行為となる。
日本は台湾を支持する強硬路線を歩むのか、それとも対中妥協に戻るのか。もし選挙で自民党が勝利すれば、高市氏は国民からの「信任状」を得たことになり、日本社会の確固たる意思を北京に示すことができる。この選挙は単なる権力争いではなく、日本の進むべき方向を決める戦いとなる。
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