中国でいま、外出時に気をつけるべきなのは足元だけではない。
「上から何が落ちてくるかわからない」そんな冗談のような話が、現実になっている。
車のすぐそばに「はさみ」や「包丁」が落下
2025年11月29日の昼下がり、女性が車に乗り込み、出発しようとしたその瞬間だった。
高層住宅の上階から、突然、包丁が降ってきた。包丁は女性の車からわずか2メートルにも満たない地面に激しく叩きつけられ、大きな音を立てたという。
女性は車内から身を乗り出し、何が起きたのかを確かめようと上を見上げた。その直後、ハサミもまた空から落下し、車のすぐ脇の地面に叩きつけられた。幸いにも、包丁もハサミも人には当たらなかった。だが、もし直撃していればどうなっていたか。偶然が重なっただけの出来事だったと考えると、背筋が凍る。

降ってくるのは包丁だけではない
空から落ちてくるのは、刃物だけではない。
中国では過去、集合住宅の上階から投げ落とされた人間の糞便が人に直撃する事件が起きた。犯人特定のため、当局は集合住宅の全住民にDNA検査を行うと通告し、さらにこう付け加えた。「全住民の検査費用は、犯人持ちだ」
すると話は一気に進んだ。DNA検査が始まる前に、犯人は耐えきれず自首したという。
空から排泄物が降ってくる異様さもさることながら、「全員分の請求書」が、事件解決の決定打になった。
命を奪った「高所からの投げ捨て」
笑い話で済まない事件も、すでに起きている。
2023年、吉林省長春市では、高層ビルから投げ落とされたレンガが通行中の女性の頭部を直撃し、命を奪った。犯人は失業と生活苦に追い込まれ、社会への報復として意図的に物を投げ続けていた。裁判所はこの行為を極めて悪質と判断し、死刑判決を言い渡している。
対策は進むが「安心」には届かない
こうした事件を受け、一部の集合住宅では落下防止ネットや監視カメラを設置するなどの対策が取られている。それでも、高層階から投げ落とされた物が届く範囲を、すべて守れるわけではない。
空から落ちてくるのが鳥のフンだけなら、まだ笑って済ませられる。だが、包丁もハサミもレンガも落ちてくる。それが、いまの中国の現実だ。


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