台湾・香港 去年は相次いで拡散 何が変わったのか

中国の台湾包囲軍事演習 今年は台湾芸能人が一斉沈黙

2025/12/30
更新: 2025/12/30

中国当局は12月29日、台湾を取り囲む形での大規模軍事演習を発表した。陸軍・海軍・空軍・ミサイル部隊を動員し、実弾射撃まで予告する強硬な内容だった。だが、ネットの空気は拍子抜けするほど静かだった。

例年なら、真っ先に反応が出る場所がある。中国の交流サイトだ。
中国国営メディアが威嚇的な文言を添えて投稿すれば、中国の芸能人が一斉に転送し、そこに台湾の芸能人のうち、いわゆる「愛国」系が続く。

ところが今年は違った。
「愛国」系を含む、台湾の芸能人たちは、誰一人として反応を示さなかったのである。

昨年10月の演習では、中国国営メディアの投稿に中国の芸能人が即座に同調し、台湾側からも欧陽娜娜を先頭に、複数の芸能人が追随した。その様子は台湾社会に強い違和感を広げ、「なぜ台湾の芸能人が、中国の軍事威嚇を宣伝するのか」という批判が噴き出した。

この疑問はやがて怒りへと変わり、台湾当局を動かす。今年5月、台湾当局は前年の拡散騒動を受け、台湾の芸能人や所属事務所を調査し、再発時は処分すると警告した。

その結果が今回の「異様な静けさ」だ。台湾芸能人の態度の変化は、圧力だけでなく「代償」を学んだ結果とも言える。

実際、中国が「正義使命」と名付けた今回の演習が始まった29日、欧陽娜娜の中国SNSは音楽関連の近況のみ。「一緒に音楽で会いましょう」と、政治色は完全に排除された。他の台湾芸能人も、まるで示し合わせたかのように沈黙を貫いた。

 

2025年12月29日、中国当局が台湾包囲の軍事演習を発表した日、台湾の芸能人・欧陽娜娜のSNSウェイボー(微博)は音楽関連の投稿のみだった。(スクリーンショット)

 

中国側は今回の演習を、米国の台湾支援への報復と位置付けている。2022年に当時の米下院議長だったナンシー・ペロシ氏が台湾を訪問して以降、中国は台湾周辺で同様の軍事演習を繰り返してきた。

だが台湾社会では、緊張感よりも慣れが先に立っている。海外も含めたネット上では「また始まった」と受け止められ、中国語で「炸魚行動(魚を驚かすだけの見せかけ行動)」と皮肉る声まで出ている。

軍事演習は大音量で始まったが、芸能人たちは静まり返った。軍艦は動いたが、転送ボタンは押されなかった。威嚇は毎年同じだが、学習効果だけは今年はっきり見えた。

 



中共台湾包囲演習開始 専門家「逆効果 日米結束強め」分析

中共東部戦区が12月29日、台湾周辺で大規模軍事演習「正義使命-2025」を開始。海空封鎖・実弾射撃を実施し、強硬発言を連発。専門家は日米支持への反発と国内危機逸らしと分析、結果的に逆効果と指摘

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!