もうすぐクリスマス。
百円ショップや雑貨店の売り場には、サンタクロースの置き物や雪だるまの飾り、赤と白のサンタ靴下の袋、クリスマスツリーに付ける星やベルなど、中国製のクリスマス飾りが並び始めている。
家族の団らんや子どもの笑顔を彩る、こうした身近な商品が、どこから来たか知っていますか。
実は、知っておいたほうがよい話がある。
12月1日、米国デラウェア州のラジオ局WGMD(92.7FM)の放送で、ある男性の体験が紹介された。
中国で法輪功を信仰していたことを理由に、2000年末から2005年末までの約5年間、広東省の監獄に収容され、強制労働を強いられた黄奎(こう・けい)氏である。
黄氏は、かつて中国の名門・清華大学の博士課程に在籍していた研究者だった。
法輪功の教えである「真・善・忍」を大切にして生きていただけで、学業を断たれ、自由を奪われたという。
監獄での生活は過酷だった。毎日18時間近い労働を強制され、休日は一切ない。約20人が1つの狭い牢房に押し込められ、食事、睡眠、排せつ、労働のすべてを同じ空間で行った。
黄氏によると、こうした強制労働に加え、電気ショックを受ける拷問や長期間の睡眠剥奪、思想転向を迫る洗脳教育も日常的に行われていたという。黄氏は当時を「人間地獄だった」と振り返る。
以下は、黄氏が番組の中で語った証言である。

クリスマス飾りの製造
監獄では、さまざまな製品の製造を強制された。
その中には、プラスチック製の造花やクリスマスツリー、電飾、季節用の小さな飾りなど、クリスマス向けの商品も含まれていた。
完成品には英語のタグが付けられ、価格は米ドル表記だった。看守からは、これらは海外向けの商品だと説明され、実際に輸出されていたという。
家庭を温かく演出するクリスマス飾りが、監獄の中で恐怖と苦痛の中で作られていたとすれば、その落差はあまりにも大きい。
実は食品も作らされていた
黄氏の証言は、クリスマス飾りだけにとどまらない。監獄では、手工品に加えて食品の加工も強制されていたという。
中でも、ピスタチオの加工は、黄氏の記憶に強く残っている。
黄氏は次のように語っている。
「最も恐ろしかったのは、私たちが食べ物の加工を強制されたことだ。大きな金属製の鉗子を使って、非常に硬いピスタチオの殻を割らされた」
「その作業の過程で、私たちの汗や涙、血、そして手の水ぶくれから滲み出た膿が、すべてそのままナッツに染み込んでいた」
さらに、極限状態を物語る証言が続く。
「囚人の中には、殻を少しでも割りやすくするため、尿を使ってナッツを柔らかくする者までいました。あまりにも過酷な労働への怒りと絶望が、そうした行為に追い込んだのです」
看守からは、これらのピスタチオはアメリカから中国に輸出され、監獄で加工された後、再びアメリカに戻されて販売されるのだと説明されたという。

私たちの生活との距離
この証言が示すのは、決して遠い国の話ではない。今回取り上げたのは主に米国向けに輸出される製品についての証言だが、中国製のクリスマス飾りやピスタチオは日本にも広く流通している。百円ショップに並ぶ飾りや、私たちが口にするナッツ類の多くも、中国で製造・加工されたものだ。
クリスマスは本来、平和や思いやりを分かち合う季節である。その季節を彩る飾りや、日常的に口にする食品の一部が、監獄に閉じ込められた人々の長時間労働と恐怖の中で作られていたとしたら、それは「自分とは関係のない話」では済まされない。
中国製品を使っている以上、その製品がどこから来たのか、どのように作られたのか、ということは中国とは海を隔てた日本の人々も知っておいたほうがよい話だろう。
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