米連邦航空局(FAA)は11月16日、東部時間17日午前6時をもって、全米40の主要空港で実施していた便数削減命令を解除し、航空会社が通常の運航スケジュールを再開できると発表した。
FAAは声明で次のように述べている。「安全動向を詳細に審査した結果、人員不足に起因する事象(staffing-trigger events)が航空交通管制施設内で着実に減少していることを確認した。このため、この命令を終了することを適当と判断した」
ショーン・P・ダフィー運輸長官は次のようにコメントした。「アメリカ史上最長となった政府閉鎖の最中にも、アメリカの空域の安全を守り続けたFAAの献身的なチームに感謝する。また、安全を最優先にする中で忍耐を示してくれた国民にも深く感謝したい」
「トランプ大統領のリーダーシップのもと、航空管制官たちは職務に復帰し、通常運航を回復できた。今後は管制官の採用を大幅に拡充し、最新鋭の航空交通管制システムの構築に改めて集中する。これにより、アメリカ国民が本来受けるべきサービスの提供を実現していく」
FAAのブライアン・ベッドフォード局長も声明を発表した。「今回の命令撤回の決定は、全米の空域システムで懸念していた人員配置の不安が安定的に減少していることを反映したものであり、正常な運航再開を可能にするものだ。FAAの安全および運用チームの献身的な努力と、旅行者の安全を第一に考える姿勢に感謝する」
声明によると、人員不足に起因する事象の発生件数は急速に減少しており、11月14日は6件、15日は8件、16日にはわずか1件だった。これに対し、11月8日には81件が発生し、過去最多を記録していたという。
運航制限の背景:深刻な人員不足と政府閉鎖
連邦政府の閉鎖により、航空交通管制施設の人手不足が深刻化していた。FAAは安全上の懸念から、前例のない指令を出して空域の交通を一時的に制限していた。
この命令は11月7日に発効し、全米で数千便のフライトに影響を与えた。対象にはニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、アトランタなど主要ハブ空港も含まれていた。この決定はダフィー運輸長官とベッドフォード局長の共同発表によるもので、両氏は、無給勤務を強いられた航空管制官の負担を軽減するには便数の削減が必要だったと説明した。
当初の削減率は4%だったが、その後6%に引き上げられた。しかしFAAは14日、この記録的な43日間に及ぶ政府閉鎖が終わり、管制官の人員状況が改善していることから、削減率を3%に戻すと発表した。
週末のフライトキャンセル数は、この命令の発効後で最も少なく、FAAが週末(15日・16日)に求めていた3%削減幅を大きく下回った。
航空データ会社シリウム(Cirium)によると、週末に全米でキャンセルされたフライトは全体の1%未満にとどまった。フライト追跡サイト「FlightAware」によれば、15日土曜日に315便、16日日曜日には149便が欠航したという。
FAAは16日の声明で、緊急命令の実施期間中に一部の航空会社が減便規定を順守していなかったことを把握しており、現在、措置および法的対応の選択肢を検討していると明らかにした。
最も多くのフライトがキャンセルされたのは11月9日で、FAAの便数削減命令と管制官の慢性的な人手不足に加え、一部地域での悪天候が重なった結果、全米で2900便以上が欠航した。
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