河北省石家荘市のカフェ「人民咖啡館(人民コーヒー)」が官製メディアから「政治的意味を商業利用した」と批判され、看板の修正を余儀なくされた。
このカフェは赤を基調とした内装に「人民コーヒーは人民のために」と掲げ、国営企業のような雰囲気を演出していた。
こうした演出に対し、人民日報系の官媒は「『人民』という言葉は政治的象徴であり、私企業が使うのは不適切」と問題視した。
運営会社は「要潮人民咖啡館」に名称を変更したが、香港や海外店舗では旧名を維持している。
こうした名前のトラブルは、今年別の場所でも起きている。
貴州省遵義市で8月14日に開業した理髪店が、シャレで最高裁判所(中国語で「最高法院」)と同じ発音をもじり、「最高髮院(=最高の理髪院)」と名乗った。看板には「処理人民の頭等大事(=国民の『頭の大事』、つまり髪の問題を扱う)」と添えられていたが、このユーモアが当局に「政治を連想させる不適切表現」と見なされ、翌15日には看板撤去を命じられた。笑いを誘った言葉遊びが、わずか一日で行政処分に変わったのである。
コーヒーも床屋も、ほんの一言で政治問題になる国。その息苦しさが、静かに国中を覆っている。

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