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外資系企業が中国撤退加速 直接投資は51%減 経済危機深刻化

2025/11/11
更新: 2025/11/11

今年第3四半期、中国の対外直接投資(FDI)が51%減少。外資系企業の撤退が加速し、中国経済の先行き不透明感が深刻化している。

中国国家外貨管理局(SAFE)は11月7日、2025年第3四半期および年初から第3四半期にかけての「国際収支統計」を発表した。それによると、外国企業の直接投資(FDI)の純流入額は85億ドル(約1兆2750億円)で、前期比51%減少した。2022年第1四半期のピーク時と比べると、実に92%もの大幅減となった。

金融情報サイト「FastBull」は、中国の2025年第3四半期における外国直接投資が51%減少したことは、世界の企業が長期投資に対して慎重姿勢を強めていることを如実に示していると指摘している。

ここ2年、中国経済は低迷が続いている。内需の弱さ、消費者信頼の低下、デフレ圧力の高まりが顕著で、中国共産党(中共)当局は新型コロナ後の景気回復戦略の一環として、外国企業の誘致・定着を目指してきた。

しかし外国資本は、中国経済の成長見通しに対して依然として悲観的であり、投資意欲は大幅に減退している。2023年第3四半期には、1998年の統計開始以来初めて直接投資が純流出に転じ、その金額は120億6千万ドル(約1兆8千億円)に達した。

米中関税戦争再燃が投資縮小に拍車

2025年には米中間の関税戦争が再燃し、外国企業による対中投資規模はさらに縮小している。

米国商工会議所中国上海支部(AmCham Shanghai)は9月10日に発表した「2025年中国ビジネス報告書」で、今後5年間の中国事業の見通しを楽観視するアメリカ企業の割合が41%に落ち込み、過去4年間で最低となったと明らかにした。また、中国を本社の最優先投資先とする企業はわずか12%にとどまり、これも過去最低の水準である。

中国の2025年第3四半期のGDP成長率は前年同期比4.8%に減速し、第2四半期の5.2%を下回った。それにもかかわらず、政府発表の統計に誇張があるとの疑念も根強い。

中国本土で店舗を展開してきた外資系企業も、中国の国内ブランドとの競争激化により業績が悪化しており、閉店や撤退が相次いでいる。多くの企業が中国事業の大部分の株式を売却するか、あるいは完全撤退に踏み切っている。

最新の例としては、アメリカの大手外食チェーン・バーガーキング(Burger King)が11月10日夜、中国事業「バーガーキング中国」の株式83%を中国の投資資産管理会社「CPE源峰」に売却すると発表した。バーガーキングの商標を保有するレストラン・ブランズ・インターナショナル(RBI)は、17%の株式を引き続き保有するにとどまる。

また、米コーヒーチェーン大手スターバックスも11月3日、中国事業の60%の株式を中国系ファンド・博裕投資に売却すると発表した。これらの動きは、外資企業が市場でのプレゼンスを一定程度維持しながら、現地事業の柔軟性と持続性を確保するための戦略的な事業再構築とみられている。

FastBullの記事は、外国直接投資の急減は国際企業の中国に対する見方が転換点を迎えていることを示していると指摘する。企業はもはや中国を単なる製造拠点とは見なさず、リスクが高く予測困難な市場環境と捉えるようになっている。不透明な規制、アメリカとの関係を中心とする地政学的緊張、そして知的財産権保護への不安などが、外国投資家の信頼を損ない続けている。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。