アメリカ合衆国ドナルド・J・トランプ大統領は、11月7日、ホワイトハウス公式ウェブサイト上で「反共産主義週間(Anti-Communism Week)」を宣言する大統領宣言を発布した。この宣言は、2025年11月2日から11月8日までの1週間を対象とし、歴史上最も破壊的なイデオロギーとして位置づけられる共産主義がもたらした惨禍を追悼するものである。冷戦終結から34年が経過した今も、共産主義の残滓が「社会的正義」や「民主的社会主義」の名の下に蘇ることを警鐘し、アメリカの自由と機会の価値を再確認する内容となっている。
この宣言は、トランプ政権のイデオロギー政策の象徴として注目を集めている。ホワイトハウス報道官のキャロライン・レビット氏がソーシャルメディアX上で引用し、「今週、我が国は反共産主義週間を挙行する。これは歴史上最も破壊的なイデオロギーの一つがもたらした惨禍を厳粛に思い起こすものである- @POTUS(米合衆国大統領)」という宣言の冒頭文を投稿したことで、国内外で急速に拡散された。
宣言の背景と意義
共産主義は、20世紀を通じてソ連、中国、北朝鮮などの政権下で1億人以上の命を奪ったとされる。宣言では、これらの政権が「信仰を抹殺し、自由を抑圧し、勤勉による繁栄を破壊した」と非難し、神から与えられた人々の権利と尊厳を侵害したと断じている。トランプ大統領は、冷戦後の世界情勢を振り返り、新たな形態の専制が「古い嘘」を繰り返していると警告。「自由を諦め、政府の権力に信頼を置き、繁栄の約束を支配の空虚な安らぎと交換せよ」というメッセージを拒絶する姿勢を明確にした。
このような反共産主義の強調は、トランプ政権の外交・国内政策に一貫している。11月上旬にマイアミで開催されたアメリカン・ビジネス・フォーラム(ABF)では、トランプ大統領がニューヨーク市長選で当選したゾーラン・マムダニ氏(民主的社会主義者)を「共産主義者」と呼び、民主党を「キューバやベネズエラのような共産主義国家にアメリカを変えようとしている」と批判したばかりだ。 これにより、宣言は単なる追悼を超え、現在の政治的分極化に対するトランプ陣営の対抗策として機能していると分析される。
宣言全文(日本語訳)
以下に、宣言の全文を掲載する。原文はホワイトハウス公式文書に基づく。
アメリカ合衆国大統領による宣言
今週、我が国は反共産主義週間を挙行する。これは、歴史上最も破壊的なイデオロギーの一つがもたらした惨禍を厳粛に追悼するものである。大陸を越え、世代を越えて、共産主義は国家と人々の魂に壊滅的な打撃を与えてきた。信仰を抹殺し、自由を抑圧し、勤勉によって得た繁栄を破壊しようとした政権によって、1億人以上の命が奪われた。それらは抑圧された人々の神から与えられた権利と尊厳を侵害したものである。私たちは彼らの記憶を称え、共産主義に断固として立ち向かい、自由と人間の価値の擁護を掲げ、自由な人々の意志と良心に代わる政府のシステムは存在しないことを改めて肯定する国家の約束を新たにする。
1世紀以上にわたり、共産主義は破滅しか生み出していない。どこに広がろうとも、異論を封じ、信念を罰し、世代に自由のために立ち上がる代わりに国家の権力の前に跪くことを要求する。その物語は血と悲しみで記されており、共産主義とは隷属の別の言葉に過ぎないことを厳しく思い起こさせるものである。
冷戦終結から34年が経過した今、世界は民主主義の勝利と新たな形態での専制の持続の両方を目の当たりにしてきた。新たな声が古い嘘を繰り返し、「社会的正義」や「民主的社会主義」の言葉で覆い隠しているが、そのメッセージは変わらない:自由を諦め、政府の権力に信頼を置き、繁栄の約束を支配の空虚な安らぎと交換せよ、と。アメリカはこの悪しき教義を拒絶する。私たちは、自由と機会がすべての人の生得の権利であるという永遠の真理の上に築かれた国家であり、外国であれ国内であれ、いかなるイデオロギーもそれらを消滅させることはできない。
反共産主義週間を挙行するにあたり、私たちは自由な人々を定義する価値観を守るために団結して立ち上がる。私たちは抑圧の犠牲者を称え、彼らの大義を生き続けさせ、生命、自由、幸福の追求の権利を否定する共産主義とあらゆるシステムが、ついに歴史の灰の山にその場所を見出すことを保証する。
よってここに、私、ドナルド・J・トランプ、アメリカ合衆国大統領は、アメリカ合衆国憲法および法律によって私に与えられた権限により、2025年11月2日から11月8日までの1週間を反共産主義週間と宣言する。
これを証するため、私の署名をここに記し、主の紀元2025年11月7日、アメリカ合衆国の独立250年目にこれを公布する。
ドナルド・J・トランプ
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