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中共軍と軍需産業の腐敗の陰で 航空母艦「福建」就役

2025/11/07
更新: 2025/11/07

中国共産党(中共)の軍内部や軍需産業で汚職問題が相次ぐなか、習近平は11月5日、海南省三亜市で行われた中国海軍の3隻目となる航空母艦「福建」の就役・授旗式に出席した。なお、このニュースを発表したのは2日後の7日で、異例の遅れが注目を集めている。

新華社通信によると、「福建」の就役授旗式は5日、海南省三亜の軍港で開催された。報道では、習近平が式典に出席して艦上を視察したほか、中共幹部の蔡奇中央政治局常務委員と張国清副総理も出席し、中央軍事委員会副主席の張升民が式典の司会をしたという。

報道が2日遅れて発表したのは極めて異例だ。

新華社は6日、習近平が海南省三亜市で自由貿易港建設に関する報告を受けたと伝えていた。香港紙「明報」はそれ以前に、習が三亜で「福建」の就役式を主宰した後、広東省に移動して、11月9日に広州で開幕する全国運動会に出席するとみられると報じていた。

当局の正式発表前から、中国本土のSNSやセルフメディアでは6日ごろから「福建」に関する情報が広まり、真偽不明の噂が飛び交っていた。当局は就役を公式に発表せず、ネット上の言論を否定したり、統制したりすることもなかった。

6日、中共国家国防科技工業局の公式ウェイボーアカウント「中国軍工」は「2日間待っていたのは分かっています。焦らず、まずはこちらをご覧ください」と投稿し、「福建」の海上試験の高画質映像を公開した。

「明報」は7日朝、過去の事例を紹介した。中国初の空母「遼寧」は2012年9月25日に大連港で就役し、当時の中央軍事委員会主席・胡錦濤が交接・就役式に出席して艦上を視察した。2019年12月17日には、2隻目で初の空母「山東」が海南省三亜の榆林軍港で海軍に引き渡され、当時の中央軍事委員会主席・習近平が出席していた。いずれの場合も、官製メディアは就役当日に写真付きで報じていた。

香港メディアは今回、「福建」の就役をめぐって憶測が広がる一方で、当局が「意図的に報道を抑えている」と指摘した。

時事評論家の李林一氏は大紀元に対し、「習近平はここ2年ほど、国内での視察に関するニュースを1~2日遅らせて発表する傾向がある。警備上の理由から、現場を離れた後に報道を許可しているようだ。彼が最も恐れているのは動向の漏洩、つまり暗殺の危険だ」と語った。

「福建(艦番号18)」は、中共が独自開発した初の電磁カタパルト式航空母艦とされ、過去1年以上にわたり複数回の海上試験を実施してきた。中共海軍はすでに艦載機「殲-15T」「殲-35」「空警-600」による発艦・着艦訓練を行ったと公表している。

これで中国海軍は「遼寧」「山東」「福建」の3隻の空母を保有することになり、初めて常時空母を運用できる「三隻体制」を確立した。

アメリカ在住の時事評論家・唐靖遠氏は、「福建は習近平政権下で建造された。艦名の『福建』は習の出世の基盤である福建省に由来し、習近平の古巣だ」と指摘した。そのうえで、「福建には政治的な意味もある。将来的に台湾海峡で衝突が発生した際、アメリカの空母打撃群と対抗することを想定している」と述べた。一部専門家は「福建」の就役を「中共海軍が内向きの沿岸防衛から外洋作戦に踏み出す転換点」と位置づけている。

一方、中共軍および軍需産業では近年、汚職問題が深刻化している。海軍政治委員の袁華智が失脚し、海軍司令官の胡中明も今回の第4回全体会議を欠席した。南部戦区の海軍司令官を務めた鞠新春と李鵬程、さらに海軍参謀長の李漢軍なども相次いで調査対象となっている。

「福建」を建造したのは、中国船舶集団有限公司傘下の江南造船所だ。同社の現会長は徐鵬だが、前会長の温剛の消息は不明。党委員会副書記の杜剛も長期間、公の場に姿を見せていない。温剛の前任である雷凡培は2022年8月に退任後、中央軍民融合発展委員会弁公室の常務副主任に転任したが、昨年末以降、重要会議を欠席している。

近年、中共当局は高官の摘発を非公開で進める傾向が強く、消息不明の幹部らについては「すでに失脚した」とみる見方が広がっている。

また、2024年6月には、中国船舶集団財務有限公司の取締役会長である李朝坤が収賄容疑で調査を受けた。関係者によると、李朝坤は艤装部品の納入業者から賄賂を受け取っていたとされ、業者の内部告発をきっかけに摘発されたという。

台湾国防安全研究院の沈明室研究員は大紀元に対し、汚職はすでに中共の組織文化の一部になっている。特に造船業界では手抜き工事や不正な中間搾取など、腐敗の温床となりやすいと指摘している。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。