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カンボジア詐欺 プリンス・グループは中共の手先か 

2025/10/28
更新: 2025/10/28

米国と英国が協力し、史上最大規模とされる暗号資産詐欺事件が摘発された。押収額はおよそ140億ドルに上り、詐欺の首謀者とされる中国・福建省出身の陳志は、現在も逃亡を続けている。この事件は国際的な資金洗浄や強制労働、人身売買にも関与しており、中国共産党(中共)の戦略と連携したものであったとされ、陳志と中共が深く共謀していた可能性も指摘されている。

米財務省と英政府は共同で、カンボジアの太子集団ホールディングス(プリンス・ホールディング・グループ)創業者の陳志を起訴した。当局は数百億ドル相当のビットコインを押収し、146人および複数の企業を制裁リストに加えている。英政府も同時に陳志および同グループへの制裁を発表し、所有資産を凍結した。

起訴状によると、プリンス・グループは30か国以上で数十の企業を展開し、表向きは不動産開発を行っているとされている。しかし実際には、カンボジア国内に少なくとも10か所の詐欺拠点を設け、強制労働キャンプのように運営していたという。被害者はSNSなどを通じて接触され、信頼関係を築いたうえで「高収益を謳う投資」を餌に金銭をだまし取られていた。

福建省出身の詐欺首謀者・陳志は現在も逃亡中だ。10月15日、カナダの独立系メディア「The Bureau」は、陳志の犯罪ネットワークが中共の統一戦線工作部と直接つながっていると報じた。

元中共スパイのエリック氏はSNSプラットフォーム「X」で、プリンス・グループ会長の陳志が中共の国家安全部や公安部の高官と密接な関係を持っていると証言した。また同グループが長年にわたり通信詐欺や労働者の奴隷的搾取を行ってきたにもかかわらず、中共が取り締まりを行わず、むしろ共謀関係にあると明らかにした。

「彼らは多くの場面で全面的に協力する。資金や人員、車両を提供するなどの支援を行うのはごく普通のことだ。任務が下されると全力で動く。このような仕組みは普通で、中国人なら誰でもよく理解している。なぜなら、中国のスパイシステムはもともと『商業活動でスパイ活動を支える』という原則を持っており、商業活動によってスパイ組織を維持してきたからだ。中共が権力を握った当初から、この体制は現在も続いている」

米国の起訴状によれば、プリンス・グループは中共の国家安全部や公安部と癒着しており、陳志は国家安全部が賄賂の見返りとして取締情報を提供してくれると述べたとされている。プリンス・グループへの制裁が報じられた後、各国が同グループの調査を始めている状況だ。

米国・セントトーマス大学国際研究講座の葉耀元教授は中国系の投資や企業について、米国側は今後さらに警戒を強めており、問題のある企業を洗い出し始めている。今後、同様のグループや企業が次々と表面化するはずだとの見解を示した。

経済系インフルエンサーの胡采蘋氏は「プリンス・グループは単なる詐欺や賭博、マネーロンダリング集団ではなく、中共の手先でもある」と指摘し 「中共は長年にわたり、パラオに対し台湾との断交を迫ってきたが、パラオ側がこれを拒否したため、プリンス・グループを通じて現地でカジノを開設させ、マネーロンダリングを実行させた。その際、パラオにおける最も重要な土地を買収していた」と述べた。

また台湾勵志協会の頼栄偉執行長は、中共は情報、金融、犯罪を組み合わせ、ときには各国のテロ組織とも連携して主権に介入し、自国に有利な代理人を育てる『ハイブリッド戦』という形を取っていると述べ、その最終的な目的は、米国が長年維持してきた民主的・平和的な国際秩序の動揺を狙うことにあると指摘。米国や国際社会はすでに中国の脅威に気づいていると述べた。

パラオは第2列島線上に位置し、米中両国が影響力を競う戦略的重要拠点になっている。時事評論家の馮睎乾氏は「プリンス・グループが米英両国による共同制裁の標的となった背景には、陳志が中共の戦略に呼応して行った略奪的投資があり、それが米国の警戒心を大きく刺激した」と分析している。

エリック氏は次のように述べた。

「中共には明確な野心がある。太平洋地域で米国と覇権を争おうとしているのだ。もしかすると『第二次太平洋戦争』が起きる日が、来るかもしれない。その時こそが本番で、今起きていることなど、嵐の前の小さな前奏曲にすぎない」

米国のシンクタンク「パシフィック・エコノミクス(Pacific Economics)」も、今年3月に発表した報告書で、中国系の国際犯罪組織がパラオでリゾート開発や土地開発を名目に犯罪活動を展開し、中共政府がそれらを政治目的で利用していると指摘している。