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EU ロシア制裁で中国の2製油所と中油香港を対象に

2025/10/24
更新: 2025/10/24

10月23日、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、欧州連合(EU)はロシアに対する第19弾制裁を発表した。今回の制裁では、中国石油(PetroChina)の貿易部門である中油(香港)を含む中国4企業が、ロシアによる石油収入の確保を支援したとして新たに制裁対象に加えられた。これは同日付のEU官報で明らかにされたものである。

EUによると、制裁対象となった中国企業4社のうち2社は、日量合計60万バレルの処理能力を持つ製油所、遼陽石化と山東裕龍石化である。両社の合計生産能力は、中国全体の1日あたり石油精製量のおよそ3%に相当する。さらに、中国石油天然気股份有限公司の貿易部門である中油(香港)もリストに加えられた。

EUは23日、第19弾となるロシア制裁パッケージを正式に承認した。中国企業が制裁対象となるのは初めてではないが、今回の制裁は経済的な影響が最も大きいと見られる。

EUは主要7か国(G7)と連携し、ロシアのウクライナ侵攻を支える資金源である石油・天然ガス収入を圧迫し、その調達能力の弱体化を目指している。

同時に、天津西山富盛国際貿易公司も制裁リストに加えられた。EUはこの企業がロシアによる制裁回避行為を支援していると指摘し、「同社はEU原産の製品をロシア企業に輸出しており、これらは本来、EUからロシアへの直接輸出を禁止している製品である」と説明した。

中国商務部の報道官は同日、EUによる制裁について「強い不満と断固たる反対の意」を表明した。

EUはこれら3つの石油関連企業がロシア産原油の主要購入者であり、モスクワにとっての重要な収入源の一つとなっていると指摘している。中油(香港)有限公司はPetroChinaの貿易部門として重要な役割を担い、ロシアの燃料収入確保を支援しているとみなされた。

裕龍石化は中国で最も新しい製油所であり、日量40万バレルの生産能力を有する。同社は中国国内でロシア産石油の最大級の単一顧客の一つとされる。先週、イギリスが同製油所を制裁対象としたことを受け、複数の原油供給業者が中東およびカナダ産原油の販売契約を解消した。EU官報によれば、裕龍石化はこれまでにロシアのESPO(東シベリア・太平洋原油)およびウラル(Urals)級原油を数百万バレル購入していたという。

遼陽石化は中国東北部に位置する、日量20万バレルの処理能力を持つ精製・石油化学一体型の総合企業である。こちらもロシア原油の主要購入者の一つとされる。

なお、中国企業以外も今回の制裁対象に含まれている。第19弾制裁には、ロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入禁止、「影のタンカー船団」への追加制限、ロシアの銀行に対する新たな措置、さらにインドやタイなど第三国に所在する制裁回避関連企業への制限も盛り込まれている。

李言