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ヤクルト 中国・広州の第1工場を11月閉鎖へ

2025/10/22
更新: 2025/11/10

ヤクルトは中国・広州の第1号工場を2025年11月に閉鎖すると発表。売上減少や事業再編の影響で、中国市場での生産体制を見直す。

日本の飲料大手ヤクルト(中国名「益力多」)が、中国・広州の工場を閉鎖することがわかった。昨年の上海工場閉鎖に続き、1年足らずで2つ目の工場が閉鎖されることになる。ヤクルトは2024年12月、上海工場の閉鎖を発表していた。

ヤクルト本社(東京)は10月20日、広州ヤクルトが事業再編を開始したと発表した。再編の一環として、広州ヤクルト有限公司の広州第一工場を閉鎖する方針であり、11月30日付で稼働を停止する予定である。閉鎖後、同工場の生産機能は順次、広州第二工場および仏山工場に移されるという。

中国メディア「界面新聞」は10月21日、広州益力多が「広州第一工場を閉鎖し、現行の3工場体制を2工場体制に移行する」と発表したと報じた。

ヤクルトの公式サイトによると、同社は2002年に中国市場へ進出し、広州で「益力多」として事業を開始した。翌2003年には「ヤクルト」の名称で上海でも販売を始めた。2002年6月に稼働を開始した広州第一工場では、「益力多」ブランドの乳酸菌飲料を生産し、主に広東省で販売していた。その後、2014年に広州市黄埔区で広州第二工場を、2019年に仏山市三水区で仏山工場をそれぞれ開設している。

ヤクルト本社は2023年11月の決算説明会で、中国市場での業績悪化を踏まえ、2024年度の利益予想を下方修正した。広州ヤクルトを含む中国事業全体では、2023年1月から9月までの1日平均販売本数が約528万本にとどまり、前年同期比で約20%減少したとしている。

また、2024年2月にはメディアが「中国ヤクルト」(本社・上海)で約800人の人員削減が実施されたと報じた。中国経済の低迷により販売が伸び悩み、ヤクルト本社が経営判断を迫られたとみられる。

関係者によれば、中国ヤクルトは2023年、天津市などにある工場でも一部従業員を削減し、生産体制の見直しを進めたという。ヤクルト本社の説明によると、2023年末時点で中国ヤクルトの従業員数は前年末の約4200人から約3400人に減少した。

ヤクルト(中国)集団は現在、広州、天津、無錫、仏山に計6つの生産拠点と53の支社を持ち、広東、上海、北京、天津、厦門、福州、衡陽、南昌、昆明などで家庭向け配送サービスを展開している。広州第一工場の閉鎖により、生産拠点は5か所体制となる。

今回の発表によれば、広州ヤクルトの2025年1〜3月期における平均販売量は1日あたり149万本で、販売地域は広東省と海南省に限られている。これは2021年の1日平均282万本と比べてほぼ半減している。

なお、ヤクルトは2021年「乳酸菌が新型コロナウイルスを予防・治療できる」とする宣伝を行ったとして45万元(約900万円)の罰金を科せられた。ヤクルトは公式に謝罪したが、この件の影響でブランドイメージと消費者の信頼が長期にわたり損なわれたとされる。

方暁