【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

9月の輸出 半導体の好調で回復基調に転じる

2025/10/22
更新: 2025/10/22

財務省が10月22日に公表した貿易統計によると、9月の輸出額は前年同月比4.2%増となり、5か月ぶりに増加へ転じた。輸入額も3.3%増と3か月ぶりの上昇となったが、輸入の伸びが上回った結果、貿易収支は2346億円の赤字となり、3か月連続で赤字を計上した。

半導体・エネルギー関連が輸出を押し上げ

財務省は、輸出の回復は半導体製造装置、電子部品および鉱物性燃料の出荷増が寄与したと分析している。世界的な半導体需要が持ち直す中、日本の関連製品の輸出が顕著に拡大した。一方、輸入ではコンピューターや通信機器の需要増が影響し、輸入額の押し上げ要因となった。

季節調整済みのデータでは、輸出が前月比2.4%増、輸入が3.9%増となり、貿易赤字は3143億円に拡大した。

対米輸出大幅減 対EU・アジア向け輸出は堅調

地域別では、対米輸出が前年同月比13.3%減と6か月連続で減少した。自動車と航空機の出荷が落ち込んだことが主因であり、自動車の対米輸出額は24.2%減と大きく減少した。対米輸入は7.1%増加し、対米貿易赤字は5233億円に拡大した。

対EU輸出は5.0%増と2か月連続で増加し、輸入は13.0%増となった。アジア向け輸出は9.2%増と力強く、輸入も6.0%増加した。アジアとの貿易は8か月連続の黒字であり、中国および東南アジア市場の回復が背景にある。

中国向け輸出は前年同月比5.8%増と7か月ぶりに増加に転じた。半導体製造装置や自動車部品の需要が回復したためだが、原材料や電子製品の輸入も9.8%増え、対中貿易収支は約7700億円の赤字となった。対中赤字は4年以上続いている。

円安が輸出を下支えする一方で赤字要因にも

9月の平均為替レートは1ドル=147.61円で、昨年の同じ月から2.3%の円安となった。円安は輸出競争力を高める一方、エネルギーや原材料の輸入コストを押し上げており、赤字拡大の一因となっている。

高市政権の政策と市場の見方

政府は7月、トランプ米政権と新たな貿易協定に合意し、アメリカが日本製品に課す関税を従来の25%から15%へ引き下げた。これにより、輸出企業の負担が一定程度緩和されるとみられている。

統計発表に先立ち、21日に高市早苗氏が日本初の女性首相として就任した。高市氏は金融緩和の継続と、財政支出を拡大する成長重視の政策を掲げており、市場では輸出企業に追い風となるとの見方が広がっている。

高市氏の自民党総裁就任以降、為替は1ドル=150円台まで下落。円安進行への期待が高まったことから輸出関連株が買われ、日経平均株価は史上最高値を更新した。市場ではこの現象を高市トレードと呼び、金融緩和と円安を背景に輸出企業の業績改善を見込む投資行動が広がっている。

王君宜
王君宜