トランプ氏がSNSで中国共産党(中共)のレアアース輸出規制を厳しく批判。関税100%を含む対抗措置を検討中で、米中関係の緊張が極度に高まっている。
最近、中共がレアアース輸出規制の拡大など一連の措置を打ち出したことが、アメリカ政府および議会の強い反発を招いている。トランプ大統領は10月10日、自身のソーシャルメディア上で突如「重大な発言を投稿」を行い、中共の行為を「陰険で敵対的だ」と強く非難した。
同大統領は「ここまで事態が悪化するとは予想していなかった」と述べたうえで、現在、アメリカ政府が多岐にわたる対抗措置を真剣に検討していることを明らかにした。対抗策の中には、中国製品への関税を100%に引き上げる案も含まれており、中共がアメリカの一部技術にアクセスする経路はすでに遮断されているという。
中共は強硬措置を繰り返すことで交渉における影響力を強めようとしているが、専門家の間ではそれが「誤算」になっているとの見方が強い。
10月9日、中共商務部は突如、レアアース輸出規制の大幅拡大を発表した。新たにホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウムの5種類のレアアース元素および関連素材が新たに規制対象に追加された。さらに、中国のレアアースを使用する外国の製造企業に対しても厳格な審査を行い、中国企業が直接関与していない取引であっても、中共当局からの許可を必要とする方針を示した。
中共商務部はまた、12月1日以降、中国由来のレアアースを0.1%以上含む製品や、中国の抽出・精製・磁石製造・リサイクル技術を用いて生産された製品についても、輸出には許可証が必要になると発表した。
これにより新たに5種類が追加され、現在12種類のレアアースの輸出が規制対象となる。中共は世界のレアアース供給の約70%を支配しており、自動車、防衛、半導体などハイテク産業にとって極めて重要な資源である。
同じく9日、中共は米半導体大手クアルコム(Qualcomm)に対する独占禁止法違反の調査を開始すると発表した。また、交通運輸部は「アメリカが所有・運営・建造、あるいは米国籍旗を掲げる船舶」に対し、港湾利用料を課す方針を示した。これらの動きは、レアアース輸出規制強化に続く新たな対抗措置とみられている。
こうした中共側の措置に対し、トランプ大統領は強い怒りを表明した。投稿の中で、中共は長年計画を進め、まずレアアース分野で独占的地位を築き、その後、世界を人質に取るように輸出制限を発動しており、これは決して許される行為ではないと非難した。さらに、敵対的な行動を踏まえれば「韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中共党首の習近平と会談する理由はもはやない」と述べた。
アメリカのシンクタンク「民主主義防衛基金(FDD)」の上級中国研究員クレイグ・シングルトン氏は、SNS「X(旧Twitter)」上で「中共の輸出規制拡大は明らかに誤算である。中共はそれを交渉カードと見なしているが、トランプ氏は裏切りと受け止めている」と指摘した。
米議会「中共は経済戦争を宣言した」
アメリカ下院の対中共特別委員会は、「中共によるレアアース輸出制限の拡大は、アメリカの経済および国家安全保障への直接的な攻撃であり、事実上の経済的宣戦布告に等しい」とする声明を発表した。声明では、「中国共産党は重要鉱物を武器化し、世界のサプライチェーンを支配することでアメリカ産業を弱体化させようとしている」と警鐘を鳴らした。
同委員会はさらに、「我々はトランプ大統領と共に立ち上がり、アメリカの利益を守り、供給網の安全を確保する」と強調した。
米中関係は破局へ向かうのか
トランプ大統領は10月10日の投稿で、米中関係における大きな転換点を示唆した。「過去6か月間、米中関係は比較的良好だったが、中共の今回の行動には驚かされた。これは市場を混乱させ、世界中のほぼすべての国、特に中国自身にも深刻な影響を及ぼすだろう」と述べた。
さらに「ここまで来るとは思わなかったが、他の事例と同様、今こそ行動すべき時なのだ。苦痛を伴うかもしれないが、最終的にはアメリカにとって有利な結果になるだろう」とSNSに投稿した。「現在検討している政策の一つは、中国からの輸入品に対し大幅な関税を課すことだ。その他にも多くの対抗措置を検討している」とも述べた。
ブルームバーグは、元アメリカ通商代表部(USTR)交渉官のウェンディ・カトラー氏のコメントとして、「こうした応酬の繰り返しは、二国間関係の脆弱性を示している」と報じた。
トランプ大統領はまた、中共が独占する分野も存在するが、アメリカにもより強固な独占的分野があるとし、数時間後に「11月1日から中国製品に対して100%の関税を課し、主要ソフトウェアの輸出を制限する」と発表した。
同氏の発言は、取引重視を掲げるホワイトハウスであっても譲れない一線が存在することを示すものである。シングルトン氏は「中国はその一線を越えた可能性がある」と分析し、「トランプ氏の投稿は、関税戦争の休戦が終わりに向かう兆しかもしれない」と述べている。
トランプ大統領の今回の発言は、アメリカ内外で大きな注目を集めた。米シンクタンク・ブルッキングス研究所の中国センター所長で台湾研究講座を担当するライアン・ハス氏は、X上で次のように指摘した。「表面的には両国間の取引や市場活動が活発に見えるが、実際には双方とも依存関係を減らし、相互分離を進めている」。
ハス氏はさらに「トランプ政権下での対中依存削減の取り組みは、米外交政策の顕著な特徴となった。それがグリーンランド購入やウクライナの鉱物採掘に関心を示した背景にある」と述べた。
韓国で開催されるAPEC首脳会議を前に、米中関係は一層緊張する可能性が高い。ハス氏は「双方が大幅な譲歩を行うことは考えにくい。たとえ両首脳が韓国で会談したとしても、大きな成果が得られるとは思えない」と述べた。
最後にハス氏は、中共が新たに発表した輸出規制について「これが米中関係の新たな現実である」と指摘し、「広い視点で見れば、今回の措置は中共が“トランプと習近平の会談”(仮に開催される場合)で発表する成果に関するアメリカとの調整をまだ終えていないことを示している」と分析した。「この会談は今後の方向性を決定づけるものとなるだろう。中共は、その場を通じてより大きな安定性と予測可能性を得ようとしている」と結んだ。
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