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G7 ロシア産原油輸入国への制裁強化を決定 凍結資産全額活用も合意

2025/10/02
更新: 2025/10/02

G7財務相はロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア産原油の購入を続ける国や制裁回避に関わる団体への制裁強化を決定。さらに、凍結されたロシア国家資産の全額活用によるウクライナ支援にも合意し、対ロ経済圧力を世界規模で強化している。

主要7か国(G7)の財務相は10月1日、オンライン形式で会議を開き、ウクライナ戦争の終結を目指してロシアへの圧力を強化するため、共同行動を取ることで合意した。

財務相は共同声明で、G7が大規模な制裁をさらに強化する意向を明らかにした。今回の行動は、ロシア産エネルギーを継続して購入している国々を対象とするだけでなく、各国の法的枠組みのもとで自国の管轄下にある「ロシアの主権資産(RSAs)」の資産全体を活用し、ウクライナ支援に充てるという初めての方針も示した。

G7はまた、ロシアの行為を非難した。その対象には、NATO領空の侵犯、民間人への攻撃の激化、ウクライナ政府機関や外交関連施設の破壊などが含まれ、「これらの容認できない行為は和平に向けた努力を損なう」と指摘した。

ロシア産原油の購入増やす国々に照準

G7の財務相は、今回の行動の主な目的の一つがロシアの主要な収入源であるエネルギー輸出に打撃を与えることであると強調した。共同声明によれば、G7は「ロシア産石油の購入を拡大し続けている国や組織」および「制裁回避を支援している組織」を制裁対象とする方針である。

これは、制裁の範囲がロシア本体からさらに広がり、ロシア産エネルギーを購入する第三国にも及ぶことを意味する。

声明は「我々は一致して、今こそロシアの最大の収入源である石油輸出に最大の圧力をかけるべきだと認識している」と述べ、「ロシアがウクライナ侵攻を始めて以来、石油購入を増やし続けている国々や、制裁回避を助けている者をターゲットにする」と明言した。

これに先立ち、アメリカは他のG7加盟国に対し、大量にロシア産石油を輸入している国々、特に中国とインドに高関税を課すよう繰り返し要請していた。この措置はロシアの戦費調達を阻止する狙いがある。

声明は「我々はそれぞれが果敢な措置を講じ、ロシア経済の重要部門やその支持者に制限を課すことで、ロシアの戦争遂行にかかる経済的コストを高めている。その対象には、エネルギー、金融、軍需産業基盤、特別経済区、さらには関与者や利得者が含まれる」と述べた。

さらに財務相は、ロシアの戦争遂行を資金面で支援する国や組織に対する制限も真剣に検討していると強調し、その一例としてロシア産原油を原料とする石油精製品への制裁が挙げられた。

声明は「我々は一致して、貿易措置(関税や輸出入の禁止を含む)が、ロシアの収入を断ち切るために極めて重要であることを認識している」と述べた。

G7は、各国が具体的措置を講じ、ロシア産エネルギーの輸入を大幅に削減し、最終的に段階的に廃止していくことを約束した。

凍結資産の全額活用へ

金融分野では、G7は新たな施策を打ち出した。声明によると、ウクライナの資金需要に応えるため、G7は各国の法制度に基づき「凍結されたロシア国家資産の全額を協調的に活用」し、ウクライナ支援を行うことで「公正かつ持続的な平和」を確保するとしている。

この凍結資産を活用する取り組みは、ロシアに対する金融面でのさらなる打撃と位置づけられている。これまでG7や欧州連合(EU)は、凍結資産から生じる利息や収益のみをウクライナ支援に充て(融資の担保や将来の返済原資として活用)、資産そのものには手を付けていなかった。今回の新たな声明は、G7が各国の法的枠組みを通じて資産本体の利用範囲を拡大していく意向を示すものである。

G7財務相は、10月15日にワシントンD.C.で開催される「国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会」に合わせて再び会合を開き、ロシアの戦争を支援する国々への貿易制限導入を含め、これらの取り組みをさらに推進する予定である。

陳霆