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ドイツ史上最大の中共スパイ事件 AfDクラ議員の元助手に懲役4年9か月

2025/10/01
更新: 2025/10/01

ドイツ連邦議会のマクシミリアン・クラ議員(AfD所属)の元助手、Jian G.が中国共産党の情報機関に協力し、欧州議会の内部資料やドイツ在住の中国人活動家に関する情報を収集していたとして、ドイツの裁判所は同氏に懲役4年9か月の実刑判決を言い渡した。

事件は2024年8月5日にドイツ・ドレスデン高等裁判所で開廷し、計13回の審理が行われた。審理にはJian G.とその共犯である中国人女性・Yaqi X.が被告として出廷した。冒頭で調査官が14ページに及ぶ起訴状を読み上げ、中共がドイツとEUの政治・軍事・経済分野に広範に浸透し、海外在住の反体制派を監視している実態が明らかにされた。

事件の経緯

44歳のJian G. は留学でドイツへ渡り、その後ドイツ国籍を取得。2019年からは右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」所属のクラ議員(当時は欧州議会議員)の助手を務めた。

検察当局によると、Jian G. は2002年頃から中共の情報機関のために活動しており、スパイ歴は20年以上に及ぶ。EUやドイツ政府、政党の動きを計画的に監視するとともに、反共産党活動家を装って、法輪功学習者を含む中共当局の迫害対象となっている在外中国人を監視するなど、極めて悪質な行為を続けてきた。

クラ議員の助手時代には、自身の立場を利用して欧州議会関連の文書やドイツ政党内部の情報を収集。クラ議員自身も、欧州議会議員在任中に中共側から賄賂を受け取った疑いなどで検察当局の捜査を受けている。独誌『デア・シュピーゲル』によると、2019年から2022年の間に関係の深い複数の企業から5万ユーロ以上の資金を受け取っていたとされる。

起訴状に記された任務

起訴状によると、Jian G.の「任務」は以下の通りだった。

・欧州議会資料の収集

欧州議会関連の文書500点以上を収集・保存。そのうち少なくとも11点は「機密」扱いで、議会の審議や意思決定過程に関する内容を含んでいた。

・ドイツ政界要人の監視

AfDの指導部(アリス・ヴァイデル党首やティーノ・クルパラ共同代表)に関する個人情報を収集。クラ議員との会話内容や党内部の動向、指導者の私生活に関する詳細を中国語で記録していた。

・中国人活動家の追跡

偽装して在独中国人活動家のTelegramグループに潜入。活動家の個人情報を収集し、Excelファイルをまとめた(1001件と2万4171件)。後者には身分証番号、住所、電話番号、経歴などの詳細が含まれ、そのうち21人はドイツ在住であることが確認された。

・ドイツ軍事情報の収集

協力者のYaqi X.がライプツィヒ空港に物流サービスを提供する企業で勤務し、2023年8月から2024年2月にかけて、Jian G. に対し、航空便の時刻表や貨物輸送の動きに関する情報を提供。その中には軍用機、部隊、無人機に関する詳細も含まれていた。

ドイツ史上最大の中共スパイ事件

連邦検察官のシュテルハス氏は、この事件を「ドイツ史上最大規模の中共スパイ事件であり、国家安全保障に直結する極めて重大な案件」と述べた。当初は懲役7年半を求刑していたが、最終的に判決は懲役4年9か月となった。

近年、中共は多数のスパイを海外に派遣し、情報収集や越境的な弾圧を行ってきた。これにより西側諸国では警戒が強まり、各国で潜伏していた中共スパイが次々と摘発・起訴されている。

 

李塑